「命を育む大変さを、男性にも知ってほしい」と語る山下真理子氏

いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第8回目は、第二子を授かるために再度赴任治療に踏み切った経緯と、その現実を原稿にしたためてもらった。

10年間妊娠しなかった母

妹と年子の二人姉妹だった私は、年の離れた弟や妹、大家族に憧れていた。時代は、大家族をテーマにしたバラエティが人気を博していた頃。

 

よく母親に、「弟か妹がもう一人欲しい!」「〇〇ちゃんのところには赤ちゃんがいて羨ましい!」とせがんだ。

 

その度に、母は苦笑いをしていた。

 

母が、長女である私を産んだのは36歳の時。妹を出産したときは37歳。26歳で結婚した母も、なかなか子供ができなかったそうだ。

 

不妊治療や妊活、という言葉が一般的ではない時代、今の私よりきっと複雑な気持ちだったんだろうなと、今ならわかる。

 

10年間妊娠しなくて、立て続けに二人の子供を産んだ母は、その時、どんな気持ちだったんだろうか。

 

コロナ禍で、私の両親は、まだ孫に会っていない。

けれども不妊治療は続く

明日、もし卵が受精していたら、「最短で、今月中には胚移植(お腹に戻せる)=妊娠の可能性がある」と言われた。

 

今朝の採卵の手術の直前まで、迷った。

 

今のところ、受精した卵はいったん凍結することになっている。

 

残念ながら、受精はせず、また一からリセット。唯一できる「卵の質をあげる」ための体質改善をしながら次回に備える。 

 

無事に受精卵ができて、卵割が進んで、「お腹に戻せる」状態になるかはまだわからないので、二人目の不妊治療は終わらない。

 

不妊治療が終わって、妊娠して、出産して、初めての子育てをしながら、けれども、不妊治療はまだ続く。

 

精神的にも経済的にも、負担は非常に大きい。

 

だからこそ、なかなか周囲の人にカミングアウトできずに悩んでいる、現在不妊治療中の人、二人目不妊の人、子供が欲しいと思っているけど迷っている人が、この記事を見て、少しでも励まされたり、「自分だけじゃないんだ」と思えたらいいなと思う。

 

 

山下 真理子

 

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