大企業の財務基盤は盤石、今後の日本経済の拡大に期待
なお、そもそも日本経済には期待できないので海外での資産運用を目指す、という意見もあります。事実、日本の大企業は海外へのM&A等の投資を急増させており、その残高は206兆円(2020年12月時点)にもなっています。その資金調達は、いわゆる「内部留保」で行われています。そのため、わが国の大企業の自己資本比率は50%を超える企業も多くなり、米国の大企業を上回っています。
これは、わが国の大企業の従業員が雇用の保障を求めて賃金の抑制を受け入れたからではないでしょうか。図表にあるように1990年代以降、わが国の労働分配率は低下し、同時に、大企業の自己資本比率は上昇しています。岸田総理が「分配」の問題を取り上げるのはこうした問題があるからです。
しかし、先述の通り、わが国の大企業は米国の大企業以上に強い財務基盤を確立しており、雇用も流動化しつつありますので、労働分配率は上昇すると思われます。それによって賃金の上昇と個人消費の拡大が起こり、日本経済は拡大へと向かうのではないでしょうか。
藤波 大三郎
中央大学商学部 兼任講師
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】