(画像はイメージです/PIXTA)

「養子縁組」という制度は、富裕層の相続対策としてしばしば利用されています。活用法のひとつに、実子の配偶者を養子縁組し、相続人を増やすことで節税効果を狙う方法があります。しかし、もしふたりが離婚することになった場合はどうなるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

離縁は可能だが、それ相応の理由が必要に

ただし、離婚する際に離婚事由が必要なように、養子縁組を離縁するときには「離縁事由」が必要となります。

 

離縁事由には、民法814条で定められており、

 

①悪意の遺棄

②三年以上の生死不明

③縁組を継続し難い重大な事由

 

が挙げられています。

 

そして、養子縁組の離縁の際には、当初の養子縁組の目的が達成できなくなったことが縁組を継続しがたい重大な事由ということとなるといわれています。

 

本件養子縁組は、Aさんが亡くなったあとは、Y子さんとXさんで財産を承継して守って行ってもらうことを目的としてなされたものですが、Y子さんとXさんが離婚したことから、Y子さんとXさんで財産を承継して守って行くことはできなくなるなっています。

 

したがって、XさんがAさんの娘であるY子さんと離婚したことは、Aさんとの「縁組を継続しがたい重大な事由」に該当することとなります。

 

そこで、Aさんは、娘であるY子さんと離婚したXさんと離縁すれば、Xさんとの養子縁組を解消することができ、Aさんが亡くなったときにAさんの遺産をXさんに相続されないこととなります。

 

よって、正解は選択肢③となります。

 

養子縁組は、相続対策、相続税対策にも利用できる便利な制度ではあります。しかし、当初の思惑通りに行かないことがあり、その際にいつも離縁ができるわけではないので、注意が必要となります。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

高島 秀行

高島総合法律事務所

代表弁護士

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧