(※画像はイメージです/PIXTA)

高校別東大合格者ランキングを見ると上位を私立・国立中高一貫校で占められています。そのデータを鵜呑みにして、「中学受験をするのは“いい大学”に行くため」と訳知り顔で語る人は、中学受験文化を知らない人だと思って間違いないといいます。それはなぜでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

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難関大学合格が目的なら6年間塾が合理的

高校別東大合格者数ランキングを見ると、上位は私立・国立中高一貫校で占められています。それであたかも、そのような学校に入れば東大を始めとする最難関大学に入りやすいのではないかと、世間一般に思われています。でも、それ、幻想です。「中学受験をするのは“いい大学”に行くため」と言う人は、中学受験文化を知らない人だと思って間違いありません。

 

端的に言います。“いい大学”に行くことを目的にするならば、もっとも効率のいい選択は、中学にも高校にも行かないことです。

 

学校に行かない代わりに、小学校を卒業した春休みからすぐに東大・医学部受験専門塾に通い、そこで与えられる勉強を6年間徹底的にやりこめば、かなりの確率で東大や医学部などのいわゆる最難関大学に合格できるでしょう。塾に通って家でその宿題をやるだけの生活に6年間耐えられればですけれど。

 

そう考えると、大学進学実績で学校を選ぶことがいかにナンセンスかがわかるのではないでしょうか。

 

たしかに東大にバンバン入るような学校に通っていれば、東大を身近なものに感じられるという意味で東大に行ける可能性は高まるかもしれませんが、では、ランキング上位の学校が東大合格のための授業を行っているかというと、むしろまったくそんなことはないんです。開成にせよ筑駒(筑波大学附属駒場中学校)にせよ桜蔭にせよ灘にせよ、大学受験に特化したカリキュラムではありません。

 

ではなぜそのような学校から毎年たくさんの最難関大学合格者が出るのか。にべもないことを言うならば、12歳の時点で学業優秀な生徒を集めることに成功しているからです。

 

そのことを裏付ける言葉があります。「7年現象」という言葉です。ある学校が東大にたくさんの合格者を出すと、その翌年の中学入試では「わが子を東大に入れたい」と思うご家庭の子どもたちがその学校に殺到し、倍率が高まり、入試難易度を表す偏差値が上昇し、実際に優秀な生徒たちが入学し、彼らが卒業する6年後の東大合格者数が増え、またその翌年の中学入試での偏差値が上昇する傾向が見られるのです。やっている教育は変わらないのに、です。

 

そのことから逆にいえば、仮に中学受験の結果、紙一重で最難関中学に合格できなくても、もともと東大合格のポテンシャルのある子どもなら、どんな学校に通うことになろうとその環境を存分にいかせれば、6年後には東大に合格できる可能性はほとんど変わらないはずです。

 

たしかに12歳の時点で開成や桜蔭に合格できる学力があるのなら、高い確率で東大に合格できるポテンシャルをもっていることのベンチマークにはなります。でも、開成や桜蔭が東大に合格させてくれるわけではないのです。そのような学校の先生たちは、もちろん生徒たちの希望を叶えるためには全力サポートしてくれますが、大学受験を目的にして教育しているわけではありませんから。

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