(※画像はイメージです/PIXTA)

お客様を喜ばせようと必死な一方で、従業員にはパワハラ状態の売上至上主義を貫いていたという飯田屋6代目店主。自分は正しいと信じて疑わなかった6代目店主はどうやって自分の失敗に気づくことができたのか。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

やっと気づいた集団辞職をした本当の理由

これまでの僕は、一方的な価値観でミスを責めては、「駄目なのは従業員たちだ」と決めつけていました。その一方で、自分自身は優秀な経営者だと思い込んでいました。

 

「お客様のため、会社のため、従業員のため」と言いながら、自分のことばかり考え、ミスが起きるのはすべて自分以外の責任と考えていたのでした。

 

大久保さんの言葉を思い出します。大久保さんは「従業員は、あなたや、あなたの会社のために働いているのではない。自分と家族の幸せのために働いている」と言いました。これまでを振り返ると、僕は今までに一度も、従業員の幸せを考えたことがありませんでした。1円でも多くの売上を上げて、1円でも多くの給与を払ってさえいれば、従業員は喜ぶだろうと思っていました。

 

「幸せ」を感じられない職場で、長く働いてくれるわけがありません。どれだけ給料が増えたとしても、どれだけ休日が多くても、それが幸せにつながるとは限りません。

 

僕と一緒に働くこと、それ自体が従業員を不幸にしていたのです。

 

「だからみんな離れていったのか……」

 

やっと僕は従業員が離れていく本当の理由を理解したのでした。

 

僕は経営者失格でした。僕にリーダーの資格はありませんでした。

 

飯田屋には、料理道具を求めて全国から多くのお客様が集まります。そのお客様だけが、僕にとっての喜ばせるべき対象者でした。

 

しかし、ほんの少し視野を広げてみれば、一緒に働く従業員も大切なお客様の一人であり、喜ばせるべき大切な仲間だったのです。いちばん身近にいる従業員を幸せにできずに、より多くのお客様を喜ばせることなどできるはずもありません。

 

僕が本当にすべき仕事は、従業員に1円でも多く給与を支払うことではなく、一つでも多くの幸せと喜びを感じてもらえる環境を整えることだったのです。

 

「従業員たちが幸せを感じられる職場をつくりたい……」
「従業員たちからの信用を取り戻したい……」

 

そう、強く思いました。

 

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

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