押しつけられた親の介護…子どもを追つめる終わりのない絶望感

相沢 光一
押しつけられた親の介護…子どもを追つめる終わりのない絶望感
(※画像はイメージです/PIXTA)

介護が始まると家族の人間関係に波風が立ち始めるという。まず誰が介護の忍耐…(介護者)になるかの押しつけあいが起こります。介護者になった人は不満をもちます。そうなると…。※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

介護にはさまざまな負担、心配、苦悩がつきまとう

介護をしている親に認知症の症状が出始めると、心労もさらに重くなります。認知症はメディアで紹介される機会も多く、どんな症状が出るのか知識のある方も多いでしょうが、じっさいに自分の親にその症状が出ると、衝撃を受けるものです。

 

子どもは幼いころから親と会話を重ね、情を通じて長年過ごしてきている。しかし、認知症になればその会話はかみ合わなくなり、場合によっては実の子である自分のことさえわからなくなることもあります。

 

親が“壊れていく”姿を見るのは切ないですし、わけのわからないいらだちも覚えます。それが暴言を投げかけることにつながり、暴力に発展することもあるのです。

 

認知症になると、性格が変わることもあります。ある介護者の集いを取材したとき、ひとりの参加者からこんな話を聞きました。

 

「私の母は若いころ、キツい性格で、すぐに怒鳴るし、ひどい仕打ちはするしで大嫌いだったんです。要介護になって私が介護をすることになったとき、“早く死ねばいいのに”と思ったほどです。でも、認知症になったら、それまでの性格が噓だったように穏やかでやさしくなった。介護自体は大変ですが、母といい関係が築けた点では良かったと思っています」

 

このように良いほうに変わることもあります。しかし、こんなケースはまれ。逆に穏やかでやさしかった親が攻撃的になったり、奇声を発したりすることもある。このあたりが認知症の怖いところです。

 

認知症だが身体のほうは元気、という人は徘徊の心配があります。外出したまま行方不明になり、警察に発見される。他人の家を自宅と思いこんで入りこみ、通報される。そんなことがくり返されることで悩んでいる介護者は少なくありません。

 

徘徊防止グッズもさまざまなものが売り出されています。家を出るとセンサーが反応し、チャイムで知らせてくれる機器、行方不明になっても居場所が特定できる小型のGPSなどです。

 

GPSを内蔵した靴もあるほどです。こうした製品が次つぎと開発されるのは、徘徊に悩んでいる介護者が多いことを示しています。

 

このように、介護にはさまざまな負担、心配、苦悩がつきまといます。そんな日々に心が折れそうになる介護者を支えるのがケアマネの役割です。

 

もちろん、このなかには介護者自身が乗り越えなければならないこともあります。介護サービスの人たちがケアをしてくれるのは限られた時間であり、それ以外は介護者がケアをすることになります。

 

食事をつくり、食べさせる、トイレに連れて行く、それができなければ排泄の処置をする、車椅子に乗せて病院に連れていく、会話をして気持ちを支える……などです。1日の大半のケアは家族である介護者の領域であり、ケアマネはそこまでの面倒は見切れないのです。

 

しかし、介護の専門家として培ってきた知識やスキルで、その負担を軽減することはできるわけです。
 

 

相沢 光一
フリーライター

 

 

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介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

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相沢 光一

河出書房新社

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