(※画像はイメージです/PIXTA)

相続した財産を売却した場合、譲渡所得の取得費加算の特例の適用を受けると、相続税をその財産の取得費に加算でき、所得税を節税することができます。この特例の適用を受けるには、相続後3年10ヵ月以内に財産を売却し、確定申告をする必要があります。取得費に加算できるのは、納付した相続税全額ではなく、売却した財産にかかった相続税に限られます。IPAX総合法律事務所の工藤敦子弁護士が解説します。

取得費加算の特例を受けるための確定申告手続き

確定申告手続き

譲渡所得の取得費加算の特例を受けるには、所得税の確定申告をする必要があります。

 

所得税の確定申告書に、譲渡所得の取得費加算の特例を受ける旨の記載をしたうえ、

 

(1) 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a036.pdf

 

(2)譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a029.pdf

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a029-1.pdf

もしくは、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a048.pdf

 

などの添付が必要です。

 

取得費に加算できる相続税額の計算

取得費に加算できる相続税の額は、譲渡した財産ごとに計算します。

 

「取得費に加算できる相続税の額」は、「譲渡した財産の相続税の課税価格」が「その相続人の相続した財産の総額(債務を控除する前の価格)」に占める割合に応じて計算します。

 

例えば、相続人が相続財産である土地を売却したとします。その相続人の相続税額が1000万円、相続した財産の総額が1億円、売却した土地の相続税の課税価格が5000万円とした場合、売却した土地の課税価格が相続した財産の総額に占める割合は、1/2(5000万円/1億円)ですので、取得費に加算できる相続税額は、500万円(1000万円の1/2)となります。

 

相続税の申告の際、贈与税額控除や相次相続控除を受けている場合の相続税額は、実際の税額とは異なりますので、ご注意ください。

 

贈与税額控除や相次相続控除を受けている場合も含め、上記(1)の相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書に順に記入していくことにより、取得費に加算できる相続税の額を算出することができます。

 

相続税費用価額の減額を受けた財産の相続税の課税価格

「譲渡した財産の相続税の課税価格」は、小規模宅地等の特例など相続税評価額の減額がなされた後の価格です。

 

代償分割をして代償金を払った場合、遺留分侵害額を支払った場合

代償分割をして、財産を譲渡した相続人が、他の相続人にその代償金を支払った場合や、遺留分侵害額を支払った場合には、上記の「その相続人の相続した財産の総額(債務を控除する前の価格)」は、支払った代償金の額や遺留分侵害額を加えた額になります。

 

 

工藤 敦子
IPAX総合法律事務所 カウンセル弁護士

 

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