※画像はイメージです/PIXTA

現在の日本において、中小企業の事業承継問題は、まさに「待ったなし」の状況です。しかし、廃業の危機に瀕した中小企業の事業を強化し、価値を高める方法として「スモールM&A」が注目されているのをご存じでしょうか。実際のメリットと具体的な方法について、専門家がくわしく解説します。※本記事は『スモールM&A実務ハンドブック』(五十嵐次郎著、中央経済社)より抜粋・再編集したものです。

公的機関による「スモールM&A」の定義とは?

公的機関では、スモールM&Aをどのように規定しているのでしょうか。近年、政府においても、中小企業の事業承継対策に関するM&Aに着目し、その取組みを推進しています。

 

経済産業省・中小企業庁は、中小企業の事業承継とM&Aについて、「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について」(2017年7月)を公表し、「小規模M&Aマーケットの現状と方向性」(同p.8)にて、中小企業M&Aの規模と分類を示しています(図表4参照)。

 

 出典)中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」(2017年7月)p.8「小規模M&Aマーケットの現状と方向性」(一部加工)
[図表4]中小企業庁「小規模マーケット」分類と事業規模別企業数出典)中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」(2017年7月)p.8「小規模M&Aマーケットの現状と方向性」(一部加工)

 

ここで「小規模企業」の「小規模のディール」(年商3億円以下企業、手数料10百万円未満)に該当するものが、スモールM&Aの規模感と考えられます。

 

なお、同資料において、大規模ディールと規定している年商10億円の企業数は約1万社で全体の0.3%であるのに対し、中規模のディールとしている年商3億円超の企業数は約56万社で14.7%、小規模のディールとしている年商3億円未満の企業数は約325万社で85.1%と、企業数は年商3億円未満の企業数が圧倒的な割合を占めています。スモールM&A市場の潜在的な可能性を示すものといえます。

 

 

五十嵐 次郎

ファイブ・アンド・ミライアソシエイツ株式会社

 

 

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五十嵐 次郎

中央経済社

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