大病の入院手術の際に手を貸してくれた同僚と、世話を焼いてくれた義理の甥に感激…。ひとり暮らしのシニア女性が、お世話になった方への遺贈を思い立ちました。しかし、確実な手続きを行わなければ、交流のない姪が相続人になってしまいます。どうしたらいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

他人への遺贈を実現するには「事前の根回し」も重要

相続人でない人に自分の財産を遺贈する場合は、遺贈したい人の住民票が必要です。一方的に書き残しておくより、事前に対象となる方に自分の意思を伝え、了解をもらっておくほうがスムーズなのです。

 

同僚の田中さんと、義理の甥の裕之さんにそのようにお伝えするようアドバイスしたところ、最初は2人とも驚き、固辞していたそうですが、最終的には気持ちを汲んでもらうことができ、住民票を用意してくれました。

 

山川さんは願っていた通りの遺言書を作成することができました。遺言執行も裕之さんが引き受けてくれることになり、山川さんの不安は解消しました。

 

手続き完了後「言葉を交わしたことのない疎遠な姪より、身近で支えてくれた親しい人に財産を渡すことができるのは、とても幸せなことです」と、山川さんは穏やかな笑顔を見せてくれました。

 

今回のようなケースでポイントとなるのは、遺贈する旨の遺言をひとりで決めて、ひとりで作成しておくだけでは十分ではないということです。希望通りの結果を実現するには、受贈者へ事前に意思を伝えておき、了解をしてもらうことが重要です。なによりそのほうがスムーズですし、また、自分でも生前に先方の意思確認ができるため、安心なのです。

 

相続人以外への遺贈を考えている方は、ぜひ参考になさってください。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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