(※写真はイメージです/PIXTA)

※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

管理会社がマンションの資産価値を左右する

■マンション管理業者に関する法律

 

マンション管理業とは「管理組合から委託を受けて、業として分譲マンションの『管理事務』を行なうこと」であると定義しています(マンション管理の適正化の推進に関する法律第2条7号)。同法に定める国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けてマンション管理業を営む者を「マンション管理業者」と定義しています。

 

同法は、「基幹事務」を管理業者の三大必須業務として特に「マンションの維持管理又は修繕に関する企画又は実施の調整」について、補助業務ではなく本来業務として、アドバイスやコンサルティングを行うことを「基幹事務」の一つとして位置付けました。

 

なお、管理事務には、警備業法に定める警備業務、消防法に定める防火管理者が行う業務は含まれません(標準管理委託契約書コメント全般関係③)。

 

上記で説明したように、管理委託契約書でいう「管理事務」とは、「基幹事務」を含む場合だけを指すものです。

 

このため、単に建物管理員業務や清掃業務だけを行なう場合は、上記の「基幹事務」を行なわないので、「管理事務」に該当しません。

 

したがって、マンション管理適正化法上は「マンション管理業」に該当しないことになります。

 

なお、マンション管理業を行なう場合には、国土交通大臣への登録を行なう義務があります。この登録をしないでマンション管理業を行なった場合には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金の対象となります。管理会社にマンション管理の委託業務契約を締結する場合には国土交通省に登録していることを確認することが大切です。

 

また、管理業者の会社を訪問して、実際にご自分の目で会社雰囲気や社員教育施設などが充実していることを確認することをお薦めします。

 

管理業者の選定についての相談は多く寄せられます。

 

管理業者を変更するには、時間と労力が必要です。

 

また、管理業者を変更することで必ずしも管理の質が向上するとは限りません。管理会社を変更してマンションの居住者とトラブルになった例も聞きます。

 

管理業者の変更は最後の手段です。管理業者の変更を検討する前に組合員の管理に関する意識を変えることが必要なこともあります。

 

管理組合の組合員は、マンション管理に関しては素人なので、プロである信頼できる管理会社にすべてお任せすれば、安心で手間もかかりません。

 

しかし、マンション管理の主体は管理組合です。主体という意味は辞書をひくと『自分の意志・判断によって、自ら責任をもって行動する態度や性質。』とか『中心的な役割を果たす。』とあります。管理組合が中心的役割を果たすことで、組合員の自意識が高まり、管理に関する意識が向上します。それによってマンションの居住価値が上がります。

 

マンションの管理業者に対する不満として、管理業者の提案力がないことが挙げられています。マンション管理は、時間や労力だけではなく、法律の知識、建物の知識、設備の知識等高い専門性と客観的なアドバイザーとしての管理会社のマネジメント能力がマンションの資産価値を左右する時代になってきました。

 

読者の皆さまは、質の高い管理業者をパートナーに選び、その管理業者と信頼関係を構築して居住価値、資産価値を高めて地域一番のマンションを目指しましょう。

 

 

松本 洋
松本マンション管理士事務所 代表

 

 

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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