70代父の遺言「財産はすべて再婚相手へ相続」…最低な後妻の策略だ!裁判で無効にしたい【弁護士が解説】

70代父の遺言「財産はすべて再婚相手へ相続」…最低な後妻の策略だ!裁判で無効にしたい【弁護士が解説】
※画像はイメージです

争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

「Aに財産を全部あげる」…遺言をひっくり返すには?

2 法定相続分とは

 

相続人の取り分は原則として法律で決まっています。

 

たとえば父親がすでに亡くなっている場合。母親が死去したとき、子供2人の取り分は2分の1ずつが通常です。これを法定相続分といいます(民法900条)。

 

配偶者と子供がいるときの相続分は、配偶者が2分の1、子供が残りの2分の1となります。子供が複数人の場合は、その2分の1を人数分で分割することになります。

 

たとえば子供が3人なら、6分の1ずつ。なお配偶者がいない場合には、子供だけで人数分に分けます。すなわち、子供3人である場合は3分の1ずつです。

 

配偶者と親がいる場合には、配偶者が3分の2、親は3分の1です。

 

3 遺留分とは

 

遺言が作成され、ある者に多く相続分が設定されたとしても、ほかの者がもらえる最低取り分を遺留分と呼びます。被相続人の子供の遺留分は本来の法定相続分の2分の1です。

 

したがって本件の事例では、本人と長男の法定相続分は、4分の1ずつ、遺留分は4分の1の半分なので、8分の1ずつとなります。そこで「Aに全部あげる」と遺言を書いたとしても、遺留分がありますから「相続財産の8分の1を渡せ」と2人とも主張できるわけです。

 

もちろん、遺産をもらえないときは裁判所を通した裁判もできます。

 

遺留分は、被相続人の子供や配偶者の割合は法定相続分の2分の1、被相続人の親の場合は法定相続分の3分の1です(民法1042条1項)。本件の事例でも、とりあえず、この遺留分を主張していくことはできるのです。

 

遺留分の主張をする際、法定相続分よりも多い相続を受ける当事者に対し、遺留分侵害額請求という意思を表示する必要があります。「遺留分侵害額請求権を行使します」と記載した手紙を送るわけです。証拠として残る形がよいので、内容証明郵便で送るのが望ましいでしょう。

 

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与、または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないと、時効によって消滅しまうので注意が必要です。

 

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