現在、中小企業のM&A(企業の合併・買収)が活況を呈しています。M&Aを選ぶ経営者は本気で後継者を育成する努力をしたのでしょうか。後継者がいないからと安易に条件を満たしたM&Aの買い手を探すことではない。残された社員、取引先が不幸にならないよう、慎重に進めるべきだという。後悔しないM&Aには何が必要なのでしょうか。

後悔しないM&Aに必要なこととは

M&Aはタイミングを逸してしまうと、このような結末となってしまうこともあります。

 

逆に売った直後に時代の波が来て、事業が一気に大きくなることもあります。「もうちょっと我慢してから売れば、もっと高い金額で売れたのに」と後悔することも考えられるわけです。

 

M&Aするにしても、タイミングは見極めないといけません。売り時を見誤らず、ときには「まだ売るには早すぎますよ」と提案してくれるような、会社の価値を真っ当に評価してくれるM&A仲介業者を探すことが大切です。

 

藤間秋男・TOMAコンサルタンツグループ株式会社代表取締役会長
藤間秋男・TOMAコンサルタンツグループ株式会社代表取締役会長

 

■事業の一部を売る方法もある

 

M&Aで後悔しないためには、たくさんの選択肢を用意するべきです。

 

相談先はもちろんのこと、M&Aの種類も十分に検討したいところです。

 

例えば、会社を丸ごと手放すのではなく、展開している事業の一部を売却するのも一考の余地があります。

 

ある会社では、社長が引退し次の世代へと引き継いだのですが、手広くやっていく事業スタイルは新社長の手に余る様相でした。経営はにわかに傾き始め、社員からの不満も募ることとなってしまいました。

 

「事業承継後、どうも経営がうまくいかない」というご相談があり、私から事業の一部売却をご提案しました。これが社長にとっても、そして社員にとっても、最善の策だと感じたのです。

 

結果、新社長は事業を売却し、経営可能な事業だけを残すことにしました。会社が負債だらけになる前に事業を売却できたので、 クライアントからは非常に感謝される一件となりました。

 

もしあのまま経営を続けていたら、いずれ破産の道をたどり、誰も幸せになれない結末となっていたことでしょう。

 

このように、受け継いだ社長の能力に合わせて事業をリサイズする、 その手段としてM&Aを採用するというのは、理にかなったベストな選択だと感じます。社内で行う事業承継と、社外に託す事業承継、二段階の事業承継です。

 

M&A仲介業者の多くは高い手数料を狙っています。 なるべく大きな規模で売りたいので、会社丸ごと売ることを前提に提案してくるところも珍しくありません。

 

「会社の一部だけを手放すという方法も考えられます」「売却のメリットとデメリットを整理してから決めましょう」など、会社全体の売却にとどまらず、選択肢を広く用意してくれるところが信頼できる業者です。

 

 

藤間 秋男
TOMAコンサルタンツグループ株式会社
代表取締役会長

 

 

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※本連載は藤間秋男氏の著書『社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、再編集したものです。

社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい

社長引退勧告 1年以内に次期後継者を決めなさい

藤間 秋男

幻冬舎メディアコンサルティング

「社長の年齢が60代の中小企業のうち、約半数は後継者が決まっていない」――中小企業庁が発行している「中小企業白書(2020年版)」のデータです。 事業を引き継ぐ人がいないということは、たとえ経営が安定していても、廃業も…

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