(※写真はイメージです/PIXTA)

「持続可能な」という言葉がトレンドとなり、一人歩きしているようにも見える昨今。起業家や経営者は「事業計画」を立案する際に、やはりESGやSDGsの視点を取り入れる必要があるのでしょうか。※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

「PEST分析」で環境変化対応課題を認識!

外部事業環境分析は、通常PEST分析というフレームワークを活用します。PESTとは、Politics Economy Society Technologyの頭文字を取った言葉で、語感は悪いのですが、広く使われているため、この呼び名で通っています。近年は、もう一つのEとしてEnvironmentやEcologyのEを加えて使うことが多くなっています。

 

PEST分析で重要なことは、自社・自事業に大きな影響を与える要因を抽出し、その要因に今後事業計画の時間軸(中期経営計画であれば、3〜5年)でどのような変化が見込まれるか、そして、その変化に対して当社・当事業としてはどのようなことに取り組む必要があるかということを抽出することです。単にこういう変化がありそうだとか、こういうリスクがあるという予想・予測だけで終わってはいけません。

 

Politicsは、政治・法律的環境要因ということで、法規制(規制強化・緩和)や、税制、裁判、判例、政治団体動向等がこれに該当します。VUCAのところで出てきましたが、先読みしにくい状態もありえますが、予測可能な政治・法律面での変化があれば、それを記述し、環境変化対応課題を明確化します。

 

Economyは、経済的環境要因ということで、景気、物価(インフレ・デフレ)、経済成長率、金融、金利・為替・株価等の要因がこの項目に該当します。最近は、国内だけでなく、海外の進出地域・国の経済的環境要因も押さえておく必要があります。そうした際は、国内と海外とを切り分けて表現する方法もあります。

 

Societyは、社会的環境要因ということで、人口動態、文化、世論・流行、教育、治安・安全保障、宗教・言語、自然環境等の要素を含みます。近年、注目を集めているのは、国内の少子高齢化で15歳以上から65歳未満の生産年齢人口が減っていることと、外国人労働者が増えていること等です。また、若者の離職率が高いことや、女性の就業率が上がっていること等があります。

 

Technologyは、技術的環境要因のことで、技術開発投資レベル、新技術とその普及度、特許等の項目が該当しますが、近年ではIT関連の技術革新が目まぐるしく、AI(人工知能)やIoT、ロボット、ドローン、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の分野で事業環境への影響が大きくなっています。

 

Ecology、Environmentは、環境的要因ということで、地球温暖化やCO2排出削減、クリーンエネルギー化に関わる規制や政策が企業活動に大きな影響を与えるようになっています。

 

[図表2]

 

ポイント
PEST分析は環境変化対応課題まで明らかにする

 

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

 

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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