(※写真はイメージです/PIXTA)

海外の百貨店のフードコートには日本の牛丼チェーンやうどんチェーンが出店しています。内需型企業でさえ海外進出が当たり前、「グローバル最適化」を図らなければならないという。どう対処すればいいのでしょうか。※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

海外市場を狙うなら「グローバル最適化」を目指す

内需型企業でさえ海外進出が当たり前になっています。タイのバンコクの百貨店のフードコートに日本の牛丼チェーンやうどんチェーンが出店していますし、フランスのパリには、日本の有名なラーメンチェーン店が出店しています。また、ベトナムでは、日本の私鉄が鉄道建設とともにリゾート開発に乗り出しています。

 

海外事業を行う場合には、次に示すマッキンゼーの経営機能移転モデルが参考になります。

 

メーカーでいうと、最初は国内で生産・組み立てを行って、完成品を輸出するところから始まります。最初は、商社などに販売を委託していますが、海外市場が拡大してくると、現地に自前の販売会社を設立します。自動車でいうと、アメリカの西海岸のロサンゼルス近郊にトーランスという街がありますが、日本の自動車メーカーのディストリビューター(配給店)が大きなビルを構えています。

 

やがて現地販売が増えてくると、現地に工場を建設し現地生産を行うようになります。日本の自動車メーカーでいうと、トヨタがケンタッキー州に、日産がテネシー州に、ホンダはオハイオ州にそれぞれ工場を持っています。労働組合が強くなく、かつ賃金が安い地域を選んで進出しました。

 

現地生産を行うようになると、現地のニーズに合わせて日本にはない独自のモデルを開発・販売するようになります。車では日本の狭い道路を通れないくらい大きな米国市場専用モデルが開発生産されています。このレベルを自己完結型海外事業といいますが、グローバル化はここで留まりません。

 

最終段階は、グローバルインテグレーションといって、グローバルに見て経営機能を最適に配置しようとします。すなわち車でいうと、日本で設計を行い、人件費が安い東南アジアのタイで部品生産を行い、船で部品を運んで運賃を安く抑え、米国の工場で組み立て、北米市場で販売を行うというようなやり方です。自動車の場合、完成車に組み立ててしまうと輸送コストが高くなるため、部品の段階で輸送した方が物流コストを抑えられるのです。

 

これは、自動車産業に限ったことではなく、あらゆる業種で進展して行っています。例えば食品でいうと、味の素は、現地の食品や調理方法を取り入れるために、北米、南米、西欧、東欧、アジア、アフリカ等世界の各地域に研究開発拠点を置いています。ですから、海外市場をターゲットにするのであれば、やがてはグローバル最適化を目指しておいた方が良いでしょう。

 

出所:大前研一「日本企業の生き残り戦略」プレジデント社
[図表2]マッキンゼーの経営機能移転モデル 出所:大前研一「日本企業の生き残り戦略」プレジデント社

 

ポイント
海外市場開拓はグローバル最適化を視野に入れる

 

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

 

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

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