体内を映し出すMRI「開発者が誰だかわからない」のはなぜか? (※画像はイメージです/PIXTA)

現代は、MRIの普及によって、それまで発見が困難だった微細な病巣も、容易に発見できるようになりました。そのため、MRIによって、重症化する前に手術できたおかげで、救われた命も多いことでしょう。このMRIは、どのようにして開発されたのでしょうか。MRIの開発秘話に迫ってみました。

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MRIとは

MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、体内の状態を鮮明に映し出すことができるので、病気の発見に役立っています。MRIは、一種の磁気共鳴装置で、磁気を利用して体内の状態を映し出します。MRI内部にある、強力な磁石が生み出す磁力を人体に当てると、体内の水分が反応するので、それを読み取って画像化するものです。

 

MRIでは断面画像が見られるので、外から見ただけではわからない病巣も、発見することができます。MRIは、体内のどこでも映し出せますが、特に頭部の検査では、CTでは見つけられないような、米粒より小さい脳梗塞も発見することができます。また、最新のMRIでは、血管の病気を発見することも、できるようになりました。MRIで血管内をスキャンすることによって、脳の動脈瘤や血栓などを、早期に発見することができます。

MRI開発の歴史

MRIが開発される前は、X線で体内を診断するしかありませんでした。それでも、体内を透視して見ることのできるX線は、画期的なものでした。しかし、X線を何度も浴びると、放射線の影響を受けるため、もっと安全な方法で、しかもX線より鮮明に、体内を見ることはできないものかと、多くの人が研究を重ねました。なかなかX線に代わる方法が見つからない中、物理学の世界から、思いがけないヒントが得られることになります。

 

1946年、磁気に関する研究を行っていた、アメリカの物理学者ブロッホとパーセルが、磁気を使うと物体を傷つけることなく、中身がわかることを発見したのです。それを聞いて閃いたのが、イギリスの物理学者マンスフィールドでした。1973年、マンスフィールドは磁場の中に人を入れ、特定の周波数の電磁波を当てることによって、人の断面画像を映すことに成功したのです。この原理を応用して、1976年に初めてMRIが開発されました。このように、登場してまだ日の浅いMRIですが、すでに医療現場に、なくてはならない機器になっています。

MRIの使われ方

MRIが一番使われるのは、脳神経外科でしょう。脳神経外科では、脳梗塞の診断を行いますが、米粒より小さい脳梗塞を発見するのは、MRIでなければ不可能です。特に隠れ脳梗塞の発見には、MRIが欠かせません。

 

脳梗塞は、脳の血管が詰まって起こりますが、隠れ脳梗塞は、血管の一部が詰まって、血行が悪くなっている状態です。隠れ脳梗塞は症状が軽度なので、自覚症状がないことが多いのが特徴です。しかし、隠れ脳梗塞を放置していると、血管が完全に詰まって、重篤な症状に陥ることも少なくありません。このような危険な状況も、MRIを使うことによっていち早く発見し、適切な対処をすることができます。

MRIの開発者は不明

MRIは、人体に高周波の磁気を当てることによって、体内の水素原子が反応して、核磁気共鳴が起こることを利用したものです。MRIの開発は1970年頃から活発になり、日本人を含む多くの研究者が、ほとんど同時期に研究結果を発表しています。そのため、MRIの開発者は、ハッキリしていないのが実情です。1977年に、アメリカのレイモンド・ダマディアンが、初めて全身のMRI実験を行いましたが、その1年前に、イギリスのマンスフィールドが、人の指のMRI実験に成功しています。

 

2003年にMRI開発の業績を称えて、ノーベル賞が贈られましたが、受賞したのはイギリスのマンスフィールドと、アメリカのラウターバーでした。ラウターバーは、MRIの基本原理を提唱し、MRIの発展の基礎を作るとともに、多くの関連技術を開発したことが、評価されたのでしょう。初めて全身のMRI実験に成功したダマディアンは、受賞者に選ばれませんでした。ダマディアンの方式は、撮影するのに5時間もかかるため、その後のMRIの標準方式とはなっていないことが、受賞者から外れた理由なのかもしれません。

ダマディアンが開発したMRI

ノーベル賞は逃しましたが、初めて全身のMRI実験に成功したことから、ダマディアンの功績を評価する人も少なくありません。ダマディアンは、1971年にサイエンス誌に掲載した論文で、「核磁気共鳴を使えば、人体を傷つけずに腫瘍を識別できる」と発表しています。

 

その後、ダマディアンは1977年7月3日に、世界初の全身スキャンのMRI実験を行いました。しかし、1つの画像撮影に5時間もかかる上に、画質も現代のMRIに比べると粗雑なものでした。ダマディアンとそのスタッフは、7年の歳月をかけて実験にこぎつけました。

 

多くの人が、不可能だと言っていたことに立ち向かったことから、ダマディアンはその実験装置に、「Indomitable(不屈)」と名付けたということです。しかし、現代につながるMRIを開発したのは、マンスフィールドとラウターバーでした。方式の違うダマディアンの装置は、商用化に失敗し姿を消すことになります。ダマディアンの方式は実用化されませんでしたが、彼が初の全身MRI実験に成功したことに、他の研究者たちが触発され、さらに優れた装置を生み出したのです。
 

 

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1955年宮崎県生まれ。明治学院大学文学部英文学科卒業。システムエンジニア歴25年。フリーライター歴15年。初期の頃は雑誌など紙媒体を中心に、現在はWeb記事を中心に執筆。執筆記事数は7000本を超える。
サブカルチャー、ムック本などのほか、時事ニュースやコラム記事の執筆もある。歴史が好きで、幕末史に独自の見解を持つ。大正時代、昭和初期の歴史にも興味があり、誰も書かなかった近代史を書きたいとの構想がある。
著書:
鹿児島あるある(TOブックス)
勝手に現代風にアレンジしたことわざ辞典(三交社)

著者紹介

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