(※画像はイメージです/PIXTA)

アフターコロナを見据え、海外に目を向ける中小企業オーナーが増えています。本記事では、中小企業オーナーが知っておくべき「海外進出」にまつわるノウハウを紹介していきます。

経営改善のプロ「海外進出先はEU諸国がオススメ」

まずEU諸国は、日本と同様のレベルまで工業化が進んでいます。自動車などの部品や素材などが共通しているため、日本の中小企業がサプライヤーとしての役割を果たせる可能性が高いといえます。

 

また、EU諸国と同様、アメリカもインダストリーが重なっているところが少なくありません。アメリカはなんといってもマーケットの規模が大きいですし、適切なパートナーが見つかれば、想像以上の成功を収めることができるかもしれません。

 

さらにいえば、アメリカの場合、人材教育や医療などの分野では日本よりも進んでいるところがあるので、逆に日本企業がノウハウ等を学べる部分も少なからずあります。

 

しかしながら、最近のアメリカは政治的な分断が先鋭化しており、日本からのアウトバウンドのビジネスに関しては、対象となる地域がアメリカのどこにあるのか、ブルーステート(主として民主党に投票した州)なのかレッドステート(主として共和党に投票した州)なのかについて留意し、QAnonに代表される陰謀論(conspiracy theory)や保守的な感情から被る想定外の不利益を回避することも不可欠です。

 

それから、イギリスも進出候補の選択肢になり得ます。同国は立憲君主国であり、また島国であるという点で、日本の国柄・国情と似通ったところがあります。

 

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)加盟11ヵ国はすでにイギリスの参加に向け協議を始めることを決定しており、参加が実現すれば約15兆ドルのEUに匹敵する約14兆ドルの巨大経済圏のなかで相互にビジネスを展開することが可能となります。

 

ちなみに、イギリスはアメリカと比べて投資銀行の力がそれほど強くなく、どちらかといえば会計事務所が影響力をもっているという点でも日本に近いところがあります。

「台湾」「アセアン諸国」も進出先として有望

EU諸国とアメリカ、イギリス以外では、台湾が有力な候補になります。台湾は[図表1](台湾の人たちを対象に行った対日世論調査の結果)が示すように大変な親日国であり、他国に比べて進出しやすい環境となっています。人口が2300万人程度なので、マーケットの規模はそれほど大きくありませんが、まだ知られていない日本の商材や技術を持ち込めば手堅い売上を得られる可能性が高いといえるでしょう。

 

公益財団法人日本台湾交流協会「2018 年度対日世論調査 」より
[図表1]台湾の親日度を示すグラフ 公益財団法人日本台湾交流協会「2018 年度対日世論調査 」より

 

また、アセアン諸国も有望です。シンガポールを筆頭に、タイ、マレーシアなどが先進国に近づいており、市場のボリュームが年々拡大している点が魅力的です。

 

ただし個々の国々を見ていくと、法制度などの面で問題を抱えているところもあるでしょうから、「どの国に向かうのか」は慎重に検討することが必要です。また、これらの国々においても、事案ごとにどこまで英語を共通言語として使えるのかを確認することが重要です。

 

それから、イスラエルはIT産業が盛んであり、現在、シリコンバレー並みに将来性の高い優良なシード企業が生まれています。

 

近年、アメリカ企業もイスラエルに盛んに投資しており、IT系のパートナー企業を探しているのであれば要注目です。イスラエルは以前GDPで見ると10%程度までアメリカに依存していましたが、いまや1%程度まで依存度が低下しており、少なからず日本や他の国々にもビジネスチャンスが広がってきています。

 

そのほかとしては、マーケットは大きくありませんが、オーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニア地域、エストニアをはじめとするバルト三国なども安心してビジネスを展開できるという点では候補となり得ます。

 

逆に、政治的なリスクがあるので、あまりお勧めできない国としては、中国、ロシアが挙げられます。

 

この2ヵ国は、国同士の環境として「グローバル化」とは逆行する要素があります。ただ中国については、既に相当の経済規模があるうえに、いずれ全世界グローバル化の中での信頼関係が復活する可能性もあります。

 

また、現時点でも、国全体としての信頼度にかかわらず、個々の地元企業の中に十分信頼関係を構築できる企業もあるため、経験を蓄積した現地日系コンサルタント会社などを介しての、純粋に中国国内マーケットを攻めるためのビジネス構築やM&Aのチャンスがあります。

 

この場合は英語を軸とした“先進国型”のグローバル戦略とは異なる、中国語を軸とした“中国型”のグローバル戦略となりますが、日本企業同士や日本的環境に執着して“こもる”のではなく、対等な現地のパートナーと力を合わせて現地のマーケットを真正面から攻めるという点では共通しています。

 

韓国も、現状は日本との間にさまざまな問題が噴出しているので、少なくとも今は積極的な進出を見合わせるべきかもしれません。

 

今後は相互に民度や英語のレベルを高めて、いずれは強力なビジネスパートナーが存在する国となることが期待されます。

 

 

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