フライパンには鉄製、アルミ製、ステンレス製、銅製、チタン製など素材だけでもさまざまな種類があるという。

「1個在庫、多品種展示」のため、仕入れた道具はすべて使って、とことん試してみた。たくさんの料理道具を試すほどに、一つひとつの商品が持つ個性が際立って見えてきた。それをブログに書き始めたところ、奇蹟が起こった。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

料理道具の選び方シリーズは大反響

当初、「そこまで自分たちの知識を公開していいのか」という声もありました。「しかも無料でやるなんて意味があるのか」というのです。

 

しかし、世の中に今はなくとも、いつかは必ず誰かが専門的な知識を無料公開するときが訪れるでしょう。ならば、誰かがやる前に自分たちが最初の一人になればいいのです。安売りで犯した過去の失敗をここで生かせました。せっかく安売りをしたにもかかわらず、誰にも伝える手段がなくて気づいてもらえずに大失敗した経験です。

 

知られていなければ、やっていないのと同じです。どれだけ専門的な料理道具の知識を持っていても、お客様がそれを知らなければ、なんの変哲もない金物屋にすぎません。プロの知識は、必ず多くの方に喜んでいただけると確信していました。そして、その期待どおりの結果が出たのです。

 

フライパンの選び方、おろし金の選び方、包丁の選び方など、料理道具の選び方シリーズの記事はものすごい反響を呼びました。そして、僕が「これが便利!」と言った道具は品切れするほどの売れ行きとなります。

 

評判を聞きつけたメディアからは、テレビ番組への出演オファーがどんどん入るようになっていきます。飯田屋がテレビ広告を自ら出せば莫大な費用がかかりますが、ゲストとして呼ばれるのであれば無料。飯田屋にとっては絶好のチャンスです。

 

少しでも印象に残るように僕は広告塔として、蝶ネクタイや眼鏡を着用し、トリッキーな髪形で出演しました。今でこそトレードマークになっていますが、「おぼえてもらうためならなんでもやってやる!」という必死の対策でした。

 

その甲斐あってか、メディアに取り上げられるほどに別のメディアにも呼ばれるようになりました。いつしか飯田屋は「料理道具の聖地」と呼ばれ、売上もぐんぐんと伸びはじめ、日々の売上の不安に怯える必要がなくなっていったのです。

 

同時に、これまで僕の経営方針に疑心暗鬼だったスタッフも物言いしなくなりました。

 

「これで、もう大丈夫だ!これから、もっと伸びていく!」

 

飯田屋の未来が明るく見えてきたと、僕は有頂天になっていました。

 

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

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