外国人による不動産投資の規制緩和から6年、その間にベトナム経済は目覚ましい発展を遂げました。しかし、外国人による不動産投資には細心の注意が不可欠です。不動産投資に関する法律にあいまいさが残るほか、社会主義国であるベトナムは、情勢によっては自国民保護の政策へとすぐさま切り替わる可能性があるからです。南部ホーチミンを拠点とし、不動産ビジネスを展開する徳嶺勝信氏が解説します。
うまい話に飛びつかず、必ず法的な裏付けをとっておく
一方、外国人による不動産投資の規制が緩和されてから6年経過していますが、注意すべき規制がまだ残っている点があるというのが、ベトナム不動産投資のデメリットです。特に、これまでも多くの問題があった「保証付きホテルコンド」などは未だに各社販売を行っているため、注意が必要です。これはベトナムの法律上、外国人が購入できるか明確に決まっておらず、法律上あいまいなままなのです。
どうか、目先の「10年保証、10%保証」などのうまい話に飛びつかず、この国の法律に詳しい外国人弁護士に、ぜひ見解を求めてください。また、ベトナムでは通貨の海外持ち出しが規制されているため、マンション購入・売却時にも注意が必要です。しっかりしたエビデンス書類を残して対応する必要があります。資金の持ち込みが認証されないと、海外への送金は原則できません。
最後に、ベトナムは社会主義国家であること忘れてはいけません。基本的に自国民を保護する政策が採用されやすく、外国人に対する規制内容が急に変更されるリスクもあります。情勢への目配り、注意深さが必須なのです。
徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director
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VINA COMPASS Co., Ltd.
General Director
沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。
VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/
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