住宅ローン金利「固定・変動」どっちが得?…今後の日本経済の展望から考察 ※写真はイメージです/PIXTA

住宅ローンを借りる際、変動金利と固定金利のどちらがいいか、しばしば議論されています。それぞれにメリット・デメリットがありますが、これまでの状況を参考にするだけでなく、今後の日本経済の行方も熟慮したうえで、判断することが大切です。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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いまは「変動金利」が有利に見えるかもしれないが…

住宅ローンを借りるなら、当然、金利の支払いが必要になりますが、その金利には「変動金利」と「固定金利」があります。中間的なものとして、「最初10年は固定金利で11年目から変動金利」といったさまざまな種類のものもありますが、本稿では論じないことにします。

 

「変動金利」というのは、毎回、そのときの世の中の金利水準に沿った金利を支払うものです。「固定金利」というのは、借りたときに金利を決めて、返済を終えるまで同じ金利を支払い続けるものです。

 

インフレになると、日銀が金融の引き締めとして金利を引き上げるので、住宅金利を変動金利で借りていると、支払い金利が増えますが、固定金利で借りていれば、インフレになってもならなくても、支払い金利は変動しません。

 

したがって、固定金利で借りるという行為は、将来のインフレのリスクに備えるという意味があるわけです。一方、将来もインフレにならなければいまの変動金利のままの支払いが続くので、固定金利より変動金利が低い分だけ「変動金利で借りてよかった」ということになるわけですが。

「住宅ローン金利」が決定されるプロセスとは?

住宅ローンの金利の基本は、銀行間の貸し借りの金利に、銀行のコストと利益を加えたものです。魚屋の魚の値段が、魚市場でプロ同士が売買している値段に魚屋のコストと利益を上乗せして決まっているのと同じことです。

 

銀行間の貸し借りの金利は、短期金利は日銀がコントロールしていますが、長期金利は銀行の予想する短期金利で決まります。もし銀行が「将来の短期金利は高くなる」と考えていれば、長期金利は短期金利より高くなります。短期金利と同じ金利で長期の貸し出しをしてしまうと、将来も現在と同じ低い金利を受け取ることになってしまいますから。

 

つまり、長期金利のほうが短期金利より少し高いのは、銀行のプロたちが「将来の短期金利はいまより高くなるだろう」と考えていることの結果なのです。したがって、プロたちの予想が当たるとすれば、長期金利から算出される固定金利で住宅ローンを借りても、短期金利から算出される変動金利で住宅ローンを借りても、損得はないはずなのです。

「超インフレに備える保険料」だと考えるなら…

読者の予想がプロより正確だという自信があれば別ですが、そうでなければ、どちらで借りても損得はないというわけですね。

 

それなら、固定金利で借りるべきだと筆者は考えています。それは、儲けることよりも大損しないことが大事だと思っているからです。プロたちの予想が外れて短期金利が上がらなかったとすれば、変動金利で借りたほうが儲かるでしょう。固定金利のほうが高い分だけ払い損ということになるからです。

 

しかし、プロたちの予想が外れて大インフレが来たとすれば「固定金利で借りておけばよかった…」ということになるわけです。たとえば、南海トラフ大地震が来て超インフレになり、厳しい金融引き締めで金利が高騰するかもしれません。そうなれば、金利の支払いで家計が回らなくなってしまう可能性もあるわけです。

 

そうしたリスクを避けるためなら、固定金利のほうが多少高くても、そちらを選ぶべきでしょう。南海トラフ大地震が来ても大丈夫なように「保険」をかけておく、というわけですね。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載老後資金の不安を解消!経済評論家・塚崎公義氏の「資産管理・資産形成術」

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