(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、コロナ禍の現在、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えていると分かっています。他人事ではない住宅ローン危機。解決策はあるのでしょうか。離婚した後、マイホームの住宅ローンを返済できなくなったFさんの事例をもとに、クラッチ不動産株式会社代表取締役の井上悠一氏が解説します。

「競売が申し立てられた」Fさんの行く末

競売が申し立てられても、落札者が決まる開札期日の前日までなら競売を取り下げることができるので、この間にリースバックを行うことは可能です。

 

競売申立てから開札期日までの期間はだいたい4〜6ヵ月程度で、Fさんのケースでは競売が申し立てられたばかりでしたので、まだ時間的な余裕がありました。しかも、リースバックの買い手も決まっていたので、あとは住宅ローン債権者側の稟議が通るのを待つだけです。

 

通常、競売が申し立てられたあとにリースバックを含む任意売却を行う場合、住宅ローン債権者である金融機関内部で「競売を取り下げるかどうか」について上層部の承認を得るため稟議が必要となります。

 

今回のケースでは時間切れの心配も少なく、事前に債権回収会社の担当者から2000万円であれば承認を得られる可能性が高いことを聞いていたので、稟議が通るのを、余裕をもって待つことができました。その後、住宅ローン債権者側の稟議が通り、リースバックが成立すれば、競売を取り消してもらうことになります。

 

ただ、ここでも問題が発生しました。リースバックでは自宅の売却と同時に、買主との賃貸借契約を締結します。⃝社の場合、賃貸借契約を結ぶ前提として「保証料+2ヵ月分の前払い賃料」が必要とされているのですが、Fさんには2ヵ月分の賃料を支払うだけのお金がないのです。

 

そこで、私が受け取る仲介手数料を後払いにして、この費用に充ててもらうことにしました。また、賃貸に際しては⃝社が指定する保証会社を利用する必要がありましたが、Fさんはリースバック後に残る住宅ローンの残金300万円に加え、消費者金融からの借入もあったため、賃貸の保証会社の承認が下りませんでした。

 

結局、別れた妻が連帯保証人となることで、Fさんが保証会社を利用できるようにしました。こうして無事賃貸借契約も締結でき、リースバック契約が成立したので、住宅ローン債権者は競売を取り下げてくれました。現在、Fさんは自己破産によって借金のない生活を送りながら、別れた妻と息子が暮らす自宅の賃料を滞りなく支払い続けています。

 

 

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社 代表取締役

 

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    ※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    井上 悠一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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