(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の高齢化や年金「2000万円問題」を背景に「資産寿命」を伸ばす重要性が増してきました。運用会社のプロ投資家が考える投資テーマの視点と個人投資家ならではの中長期運用という時間軸の優位性をうまく活用する資産運用術を明らかにします。※本連載は後藤康之氏の書籍『最強の外資系資産運用術』(日本橋出版)から一部を抜粋し、再編集したものです。

個人投資家だからできる中長期視点の資産運用

③高齢化が進む中で、自分の資産運用も自分の責任の1つ

 

この状況下で政府や金融庁も、NISA(個人投資家のための税制優遇制度)やiDeCo(個人型確定拠出型年金)など、数年にわたって様々な長期積立投資を促す方策を整えており、またコロナショックによる株式市場の暴落も相まって、若年層の投資への意欲も高まっているようです。特に2020年1ー6月には、インターネット証券会社への多くの口座開設や、分かりやすく安価な株式市場連動型(パッシブ型)の投資信託への大きな資金流入(1兆円程度)も見られたそうです。

 

私自身は計3社の外資系金融機関にて合計9年従事し、その間は上場株式・債券そして不動産・プライベートエクイティ(未公開株投資)など、色々な投資商品に関わる分析や解説、マーケティングなどを行っていました。金融機関に勤務していると投資に関して、厳しい内規がある一方で、当然ながら自分個人の資産運用も必要、ということで自らも投資の勉強をしようと教材を見て回ったことがありました。

 

そこで、投資初心者向けの教材は多くあるものの、内容としては物足りないな、と感じていました。一方初心者用以外は、MBA向けやプロ向けの金融本であり、と個人投資家の中で、プロやデイトレーダーのように毎日専業で投資はできないけど、初心者向け以上に、もう少し投資を勉強したい方への本があってもよいかな、と感じていました。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■金融業界にて気づいた、個人投資家だからできること

 

私の金融業界での経験から、運用会社で投資家の資金を運用しているプロ投資家自身が投資テーマを探し、また対外的に話す際に、政治(例: 米中対立や米大統領選挙)・経済(グローバリゼーションとコロナ禍での景気後退)・社会(コロナ感染拡大、格差拡大)・環境(地球温暖化)問題など、従前から脈絡のある事象に対する解決策(コロナウイルスへのワクチン開発、電気自動車の普及)が見つかるのではないか、もしくそのような事象の二次的な産物(米中対立により、米国と中国で世界を二分する経済圏を形成する)があるのではないか、という内容が多く見てきました。

 

このような投資テーマを追っていくには、広い視野を持ち、常にニュースなど目を配り、継続的に情報の“点”と“点”を繋げていく努力をしていれば、主に人口動態、経済基調や業界トレンドなど、短期ではなく中長期での変化が起こるというテーマは見つかるもの、と感じていました。しかし個人投資家にとって、常に情報を追い続け、中長期の投資テーマを定め、そして投資実行へ、という過程は多くの労力がかかる割には、デイトレーダーのようにすぐにリターンという形で結果が見えるわけでもありません。従って、個人投資家にとっては、あまり面白みが分かりにくい投資手法でもあります。

 

一方プロ投資家は、毎四半期や毎年の運用パフォーマンスで実力を測られることも多く、個人投資家ほど年単位での投資時間軸を持っていないケースがほとんどです。たとえ興味深い投資テーマが見つかっても、投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏のように、数年にわたって継続的に投資できるとは限らず、不本意ながら投資テーマに沿った銘柄の売却を途中で迫られたり、新たな短期的な投資テーマを追う、という、本来自らが持っている、中長期的な投資テーマの視点をフルには活かせていないのも実情です。

 

そこで、プロ投資家との1)情報の非対称性(継続的に点と点を結ぶ作業)と2)時間軸のミスマッチ(短期vs.中長期)を少しでも個人投資家が埋められれば、個人投資家にとっても、機関投資家の投資テーマを、中長期の目線で投資しやすくなるのでは、と思っております。

 

後藤 康之
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
国際公認投資アナリスト(CIIA)

 

 

最強の外資系資産運用術

最強の外資系資産運用術

後藤 康之

日本橋出版

日本の高齢化や年金2000万円問題を背景に、コロナ禍前から注目されていた『資産寿命』というテーマ。 加えて2020年の新型コロナという世界中に影響を与える大きな変化が起こったことで、個人レベルでの『資産寿命』を延ばす…

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