(※画像はイメージです/PIXTA)

「私もずっと『孤独』でした」と語るのは精神科医の和田秀樹氏。現代病理の多くが孤独や疎外感が「根っこ」になっていると指摘する。多くの人が悩む「何となく寂しい」から逃れる「孤独の作法」とは。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

孤独の効用を知る

■「天才」たちの孤独

 

世の中には「天才」と呼ばれる人たちがたくさん存在しますが、彼らの人生を覗いてみると、孤独であった時期を持たない人はほとんどいないのではないでしょうか。

 

万有引力の法則を発見したニュートンは、生まれる3ヵ月前に父親が他界し、3歳で母親が再婚して家を離れ、幼くして両親の愛情を知ることなく育つことになりました。

 

祖母の手で育てられたニュートンは、成長してからも物思いにふける内気な性格で、遊び友達もなく、同年代の子どもたちからは始終からかわれていたといいます。

 

そんなひとりの時間を埋めるためか、家のいたるところに日時計を刻むなど、ちょっと変わった子どもでした。

 

いっぽう、ニュートン以来の物理学の常識を相対性理論によって塗り替えた「20世紀最大の科学者」といわれるアインシュタインは、学習障害があったともいわれ、興味のあることにはとことん熱中する半面、興味のないことにはとことん無関心でした。言葉を発するのも人一倍遅かったそうで、5歳ごろまであまり言葉を話さなかったといいます。

 

学校の成績にもムラがあり、数学や物理など非常によくできる科目があるいっぽう、歴史や語学は全然できない。アインシュタインが進学したチューリッヒ連邦工科大学も一度は不合格になっています。

 

大学卒業後は、同級生たちが大学にそのまま残り、助手としての職に就いたのとは対照的に、アインシュタインは教授から「なまけもの」という烙印を押され、大学には残してもらえませんでした。

 

結局、アルバイトなどで糊口をしのぎながら2年も職探しをすることになり、ようやく特許庁に勤められることになりましたが、彼にとってこの2年間は「周囲に認めてもらえない」という失意の連続だったことでしょう。

 

そんな彼らが世の中を一変させるような大発見をした背景には、「孤独であった」ということが少なからず関係しているはずです。

 

彼らは孤独に負けずに、孤独の時間を思索にあてたのです。

 

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孤独と上手につきあう9つの習慣

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和田 秀樹

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