※画像はイメージです/PIXTA

歯科矯正として現在も多く行われている「ワイヤー矯正」は、100年以上もの歴史を持つ伝統的な治療法であり、職人気質な矯正が多く活躍しています。しかし、デジタル化の時代、職人的な医師の技術とデジタル技術が合体することで、患者の負担が少なく、満足度の高い治療が実現できる可能性があるのです。歯科医師が解説します。

機械がシミュレーションするなら、誰がやっても同じ?

「歯の動きを機械がすべてシミュレーションしてくれるなら、誰がやっても同じなんだし、そんなに難しくないのではないか」

 

インビザラインがデータをもとに作られているという話をすると、たいていの人はこんな疑問をぶつけてきます。しかし、インビザラインこそ、歯科矯正に関する基礎的な知識と高度な技術、なにより経験値が治療結果に大きな影響を与えます。

 

まず、いちばん重要なことは、クリンチェック作成の前に患者さんの状態を写真、レントゲン、CT、スキャンデータなどから正確に把握し、診断を立てるのはデータではなく医師であるということです。この診断が間違っていると、不適切なクリンチェックが出来上がってしまいます。

 

クリンチェックはあくまでシミュレーションソフトに過ぎないので、どうにでも並べることができてしまうからです。しかし、実際に治療を施すのはデータ上ではなく患者さんの体のなかなので、顎の骨の状態や歯の根との位置関係などを正確に把握したうえでクリンチェックに反映させなければ、正しい治療は行えません。

 

なにより、クリンチェックは治療を担当する医師の「指示」のもとに作成されます。どの歯をどの順番で、どの方向に何ミリ移動させるかを事細かく指示するのはソフトではなく医師自身なのです。

 

「この人の場合はこんな歯の動き方はしないだろう」「ちょっとこれは無理があるのではないか」というようなシミュレーションをシステムが提案してくるときもしばしばあります。そんなときは矯正医の腕の見せどころです。これまでの経験を活かし、治療計画を何度も練り直すのです。画面上では歯並びが整っていく様子を見ることができても、実際に動くのはデータではなく患者さん自身の歯です。

 

その点は、実際に患者さんの口腔内を見せてもらったりこれまでの生活習慣を聞き取ったりしている医師だからこそ分かることもあるはずなのです。3Dスキャニングでマウスピースを作って患者さんに渡したからといって、治療が自動的に進んでいくわけではありません。

 

例えば計画どおりに歯が動いていない場合、その都度「どこを調整すべきなのだろう
か」と考えるのは、医師自身です。そのときには膨大なデータではなく目の前にいる患者
さんをしっかり見なければ答えは出てこないのです。

 

ということは、もしも初めにつくった治療計画がいい加減だった場合、思ったとおりの結果が得られずにマウスピースが使えなくなることもありますし、治療期間もそのぶんだけ延びてしまいます。なかには実際の歯の動きをきちんと理解しないままに無理な治療計画を立ててトラブルを起こしてしまったというケースもあります。解剖学的な確かな知識がベースにあってこそ、インビザラインは活かされるのです。

 

三嶋 一平
医療法人むらつ歯科クリニック勤務医

 

 

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※本記事は、『口元美人を叶える インビザライン矯正治療』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

口元美人を叶える インビザライン矯正治療

口元美人を叶える インビザライン矯正治療

三嶋 一平 著
村津 大地 監修

幻冬舎メディアコンサルティング

アメリカで開発されたマウスピース矯正治療“インビザライン"は、患者さんの口腔内を3Dスキャナーで読み取ってオーダーメイドの透明なマウスピースを作成し、マウスピースを取り替えながら歯を動かし矯正していきます。さらに…

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