※画像はイメージです/PIXTA

5件に1件の割合で入るといわれている相続税の税務調査。税務署への申告方法や事前準備によって、税務調査にできるだけ入られないよう対策することもできますが、そんな努力も実を結ばないケースも見られます。今回は、相続税の税務調査の結果、重加算税を支払うことになってしまった事例を見ていきます。

相続税の申告から2年後、税務署から1本の電話が…

税務調査でまさかの「仮装隠蔽」として認定されてしまうことに

無事に相続税の申告が終わり、申告期限から2年後。なんと税務署から連絡がありました。税理士も、依頼者である奥様も、「あれだけ調べた上で問題のない申告をしたのになぜ?」という感想でした。

 

しかし、税務調査で大変なことが発覚しました。

 

実は生前、被相続人から奥様に対して、お金を1,000万円分渡していたのです。旦那様としては、「今まで一緒にいてくれてありがとう」という感謝の意味を込めたお金でした。

 

旦那様のその銀行はすでに解約していました。そのため、奥様としてはもらったという認識をしており、税理士にも伝えないままでいました。

 

税務調査の際は、税理士からどのような調査をして名義財産を計上したのかという経緯を説明し、被相続人分だけでなく、相続人分の通帳もすべて調査をしたということも伝えました。

 

しかし、そこまで調査したのに、計上漏れとなった1,000万円分の預金を事前に資料提示を行わなかったということは、「隠した」という意図があり、悪意ある行動とみなされてしまいました。

 

そのため、仮装・隠ぺいに該当し、配偶者控除の特例の対象にもならず、相続税だけでなく、重加算税も払うという処理となってしまいました。

 

まとめ

相続税の申告においては、お金の動きに対して、当事者同士での認識がどうであったかをいうことは当事者同士では分かりますが、相続税の申告においては、税務署の調査官が税務的にどのように判断するかという解釈のリスクがありますので、申告の時は慎重に判断する必要があります。

 

今回の事例においては、どのような点を注意すべきだったのでしょうか。結論としては、下記がポイントと考えられます。

 

・申告の時は、すでに起こってしまった出来事をどのように税務上取り扱うかを判断するため、税理士に対しては故人の資産や資金移転等の情報を開示すること

・過去に解約してしまった預金口座についても、高額なお金が動いている場合には、資料を保管しておくか、資料がなくてもその情報を税理士に伝えること

 

事前に税理士に対して情報提供があった場合には、どのような方法で処理するかという選択肢を提供でき、リスク面も説明することが可能ですが、税務調査で指摘されてしまいますと、税務署のペースで処理されてしまうことがあるため、納税者の方のことを守ることが難しくなってしまいます。

 

特に資金移転というのは解釈の余地があり、税務上の判断も難しいため、実務経験の豊かな相続税申告の現場に詳しい相続税専門税理士に相談することをお勧めします。

 

 

税理士法人ブライト相続 税理士
戸﨑 貴之

 

 

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