(画像はイメージです/PIXTA)

裁判で離婚が認められる理由は5つあります。それぞれの判断基準や証明方法を見ていきましょう。※本記事は弁護士の森公任氏と森元みのり氏が監修する『一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計』(西東社)より、一部を抜粋・編集したものです。

原因をつくった側から離婚することはできるのか

浮気した本人が離婚を申し立てたら?

 

たとえば、夫婦のうちで浮気をしたほうが、浮気相手と結婚するために裁判で離婚を求めたらどうなるのでしょうか。離婚の原因をつくった側(有責配偶者)からの離婚請求を、裁判所は原則として認めていません。

 

常識的に見て、あまりに身勝手だからです。何の責任もない人が離婚を拒否しているにもかかわらず、原因をつくった側からの離婚請求を認めたら、それは裁判所が原因をつくった側に加担するようなものです。

 

ですから、裁判の過程で原告が離婚の原因をつくったことがわかれば、その請求は棄却されます。しかし、1987年の最高裁判決以降、原因をつくった側からの離婚請求を受け入れる例外も出てきました。

 

これは、関係が回復する見込みがまったくない夫婦に、戸籍だけの関係を強制するのはかえって不自然だ、という考えに基づいています。これを「破たん主義」といいます。関係が完全に破たんしている夫婦に対しては、前向きな解決策の1つとして、離婚を検討してもいいのではないか。これが、近年の裁判所の考え方です。

 

離婚の成立を優先して「どちらに責任があるか」という問題は後回しにしよう、というものです。厳しい審議が待っているとはいえ、訴えられる側からしたら、相手が原因で関係が破たんしたのに、「もう破たんしているから、離婚を求める」と言われるのは納得がいきません。

 

裁判所もそのあたりを考慮し、離婚の原因をつくった側が離婚請求を行うにあたっては、厳しい条件をクリアしなければならないとしています。もちろん、条件をすべて満たしているからといって、自動的に離婚が認められるわけではありません。

 

裁判の審議では、訴えられた側に責任がないという点が重視されます。離婚を認めるかどうかの判断だけでなく、財産をどう分けるかや慰謝料を決める際にも、訴えた側は不利な立場になるということです

 

[図表7]有責配偶者から離婚するときの最低条件
[図表7]有責配偶者から離婚するときの最低条件

 

 

 

森 公任

森法律事務所

弁護士

 

森元 みのり

森法律事務所

弁護士

 

 

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