※画像はイメージです/PIXTA

不動産市況アナリストの幸田昌則氏は、「超高齢化社会が不動産市場を活性化させる」と語る。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

有料老人ホームという「豊かな市場」

2015年の実質的な相続税の強化は、大都市の資産家にとっては大問題であり、その対策として賃貸アパートの大量供給を促進させ、地域によっては、空室の増加、家賃の低下を招き、賃貸アパートのオーナーが破産する例も出ている。

 

高齢者が不動産のマーケットの活性化に貢献する存在となっていることは説明したが、さらに死後には相続が発生して税収を潤すことになる。相続税の課税強化後は、国の思惑通りに相続税は大幅に増えた(国税庁推計データより)。

 

相続財産の内訳を見ると、時代の移り変わりが見えてくるが、それでも住宅・土地などの不動産は全体の約4割を占めている(国税庁発表資料より)。

 

また、高齢者が認知症になると、保有している「預金や不動産」の管理を誰がどうするのか、という問題も生じてくる。認知症の人が保有する金融資産額を民間のシンクタンクが試算した結果は、2017年度末で143兆円、2030年度には215兆円にもなるという。この額は日本の個人金融資産の約1割を占める。病状が悪化する前に、所有する資産についての管理方針を、家族が決めておくことが必要である。

 

高齢者が増加すれば、介護施設が必要となるため、都市部を中心に需要の増加が見込まれる。有料老人ホームは、国に届け出たものだけでも約1万4000あり、10年前に比して約3倍になっているという。このための土地や施設の需要があり、さらに入居希望者の紹介、仲介業務が拡大していて不動産市場の拡大につながっている。

 

これまでの賃貸マンション・アパート・貸家の仲介業務は、多くが若年・中年層向けであった。今後、若年層市場は縮小していくが、高齢者施設への仲介業務は、手数料の単価が高いこともあり、豊かな市場となる。ここでも「高齢者」なのである。

 

 

幸田 昌則

不動産市況アナリスト

 

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