格差が出ることが当たり前だった明治時代の民主主義の時代。そんな中、渋沢栄一は慈善事業で、東京養育院など貧しい方に施すような組織を作るなどその異色さが伺えます。彼は一体どんな思想を抱いていたのか。歴史好きとして知られるお笑い芸人のビビる大木さんが解説します。※本連載は、ビビる大木氏の著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

満足はしない。ただし感謝は忘れない

満足することは衰退の第一歩である

すべて世の中の事は、もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である。

【『渋沢栄一訓言集』国家と社会】

 

■完成しない「陽明門」のすごさ

 

「満足は衰退の第一歩」とは、渋沢さんの考え方は容赦ないですね。先ほども話しましたが、当然、この言葉どおりだと思います。

 

ただ、ここは渋沢さんも当然そう思っていると思いますが、今日までの感謝の気持ちがないとダメではないでしょうか。満足は当然、もうOKだというふうに思ってはいけないけれど、とりあえず現状に満足というか、感謝はしないといけない気持ちは忘れてはならないと思います。僕は渋沢さんに提言したいのですが、ここは両輪かなと思います。

 

ここで、日光の東照宮にあります「陽明門」の話を少々。

 

陽明門は柱が一本逆さまになっています。それも、あえて逆さまになっています。建立したときからそうなんです。

 

上向きのものをそのまま上にしてしまうと完成してしまいます。完成イコール、あとは滅びていくことになる、壊れていくことになるために、「東照宮は一生完成しない」という願いをこめて、陽明門の柱を一本、あえて最初から逆さにしているのです。

 

日光東照宮は江戸時代の徳川家光の時代に完成しました。そんな昔に、柱を逆さにしたままにしておくことで、完成しないことを表すという発想がすごいなと思いました。まさに渋沢さんの言葉を体現していますね。

 

 

ビビる大木

 

 

ビビる大木、渋沢栄一を語る

ビビる大木、渋沢栄一を語る

ビビる 大木

プレジデント社

歴史好き芸人・ビビる大木が、 同郷の偉人・渋沢栄一の遺した言葉を紐解く! 「はじめまして、こんばんみ! 大物先輩芸人と大勢の後輩芸人の狭間で揺れる40代『お笑い中間管理職』の僕。芸人としてこれからどうやって生き…

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