集団免疫「ただ乗り問題」…ワクチンのリスクをどう考えるか? (※画像はイメージです/PIXTA)

感染症に関して、集団免疫という言葉が良く使われます。集団免疫とは何でしょうか。ここでは、集団免疫によって、感染が抑止されるメカニズムや問題点について解説します。

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集団免疫とは

集団免疫とは、感染症などが蔓延した場合に、人口の一定割合以上の人が、その感染症にかかって免疫を持つと、感染が抑えられることを指します。感染症は、ウイルスなどがそのウイルスに対する、免疫を持たない人に感染することによって起こります。人口の一定割合以上の人が免疫を持つと、感染が拡大しないため、免疫を持たない人も感染しなくなります。この状態が集団免疫です。

 

感染症は人から人にうつるため、集団免疫が感染拡大を阻止する、防波堤の役目を果たしてくれるのです。人口の何%が免疫を持つと集団免疫になるのかは、感染症ごとに違います。ワクチンを接種すると、免疫と同じ効果がありますが、ワクチンごとに感染を防ぐ効果に差があるため、多くの人に接種しても、集団免疫とならない場合もあります。

集団免疫でワクチン接種できない人を守ることができる

集団免疫とは、ある感染症に対する、その地域や国の抵抗力と言ってもいいでしょう。集団免疫ができないと、感染は拡大します。これとは逆に、集団免疫ができていれば、その地域や国全体を感染から守ることができます。

 

たとえば、妊婦が風疹にかかると、胎児に障害が残るおそれがありますが、妊婦は風疹ワクチンを接種することができません。ワクチンを接種しないと、風疹に感染するおそれがあっても、周囲の人たちが風疹のワクチンを接種して、集団免疫を高めると、ワクチン未接種の妊婦も感染から守られます。このように、集団免疫を作ることによって、何らかの事情でワクチンを接種できない人を、守ることができるのです。

感染症の根絶とは

ある感染症の症例が見られなくなると、その感染症が根絶されたことになります。感染症の根絶は、集団免疫を高めることによって可能となります。ある地域において、一定期間集団免疫が維持されれば、感染症は完全に排除されますが、これが根絶された状態です。世界中で感染が完全に排除され、発生数ゼロを永続的に維持できると判断されれば、感染症の根絶が宣言されます。

 

しかし、世界中でこれまでに根絶された感染症は、牛疫と天然痘しかありません。牛疫は家畜の法定伝染病で、牛やめん羊、山羊、豚など、偶蹄目の動物が感染する病気です。牛疫にかかると、消化器系や鼻、肺などをはじめ、全身の粘膜が冒されて出血します。伝染力の強い病気で、感染すると死亡率が高いため、畜産農家に大きな打撃を与えます。2011年、牛疫は天然痘に続いて根絶が宣言されました。

 

天然痘は紀元前から猛威を振るってきた病気で、致死率が高いことから死に至る病として恐れられました。治っても顔に醜い痕が残るので、後々まで人を悩ませる病気だったのです。天然痘ワクチンの接種により、1980年5月に、WHOから根絶が宣言されました。牛疫と天然痘は、集団免疫と予防接種によって根絶されましたが、根絶した例がわずか2つしかないことを見ても、感染症の根絶がいかに難しいかがわかります。

 

現在、ポリオも根絶に向けて、集団免疫の獲得が急がれていますが、予防接種に不信感を持つ人が多いために難航しています。ポリオは5歳以下の小児がかかる病気で、感染者200人のうち1人の割合で麻痺が起こり、そのうち5%~10%が死亡します。1988年には、世界中で推計35万人のポリオ患者がいたとされますが、2018年には33人まで減少したものの、根絶には至っていません。ポリオは感染力が強く、1人でも感染者がいると、世界的規模で感染が拡大するおそれがあるので、根絶するまで油断できない感染症です。

集団免疫ただ乗りの問題

集団免疫は人口に対して、一定数以上の人が免疫を持てば達成されます。しかし、ここで懸念されるのが、集団免疫ただ乗り問題です。ワクチンによる集団免疫の場合、ワクチン接種を選択した人と、ワクチンを接種しない人に分かれます。一定数以上の人がワクチンを接種すれば、集団免疫が得られるので、接種しない人は接種した人々によって作られた、集団免疫にただ乗りすることになります。

 

ワクチン接種には、わずかながらリスクがあるので、ただ乗りする人は、リスクなしに集団免疫の恩恵を受けることになり、不公平感が生まれます。ただ乗りする人は、ワクチンに対する不信感や個人的価値観、宗教的理念などによって、ワクチン接種を拒否するケースが多いようです。ワクチン接種を拒否する理由には、一定の理解が得られるものの、ただ乗りが多いと、アウトブレイクのリスクが高まるので注意が必要です。

 

 

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1955年宮崎県生まれ。明治学院大学文学部英文学科卒業。システムエンジニア歴25年。フリーライター歴15年。初期の頃は雑誌など紙媒体を中心に、現在はWeb記事を中心に執筆。執筆記事数は7000本を超える。
サブカルチャー、ムック本などのほか、時事ニュースやコラム記事の執筆もある。歴史が好きで、幕末史に独自の見解を持つ。大正時代、昭和初期の歴史にも興味があり、誰も書かなかった近代史を書きたいとの構想がある。
著書:
鹿児島あるある(TOブックス)
勝手に現代風にアレンジしたことわざ辞典(三交社)

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