いつまで続くのか分からず、「出口の見えないトンネルのなかにいるよう」とも言われる不妊治療。女医の山下真理子氏も、そんな不妊治療で子供を授かったひとりだという。どのような問題に直面し、どう向き合ってきたのか、医師の立場から語ってもらう本連載。第5回目は、不妊治療によって変わった自身の考え方について語ってもらった。

単に「子育てを経験してみたい」では済まされない

人間の性格は、遺伝と友人関係が全てで、親の教育や家庭環境は人格形成にほとんど影響しない、というデータがあるらしい。

 

それがどれくらい正しいのかは、ちゃんと調べたことがないのでわからないが、どんな友人と幼少時代を過ごすかも、すべてとは言わないにしても、かなり大きなウェイトを占めていると思う。そこには親が子に与える環境が関わっているとも言える(親が住んでいる場所、親の交友関係、親が行かせた習い事や塾など)。

 

それくらい、人一人の人生に関わっていくかということ。単に「赤ちゃんがかわいい」「子育てを経験してみたい」では済まない。

 

だからこそ面白いし、だからこそ、子育て=自分育てなのではないか。

 

子供はまた、自分の姿を見て育つからだ。

 

まだ妊娠中に、とある人から、「どんな子育てがしたい?」と聞かれたことがある。

 

私は、「やりたいことをやりたいようにさせてあげたい」と答えた。

 

そのとき言われた言葉は、忘れられない。

 

「やりたいことをやらせたいと思うだけのママには、子供に自由を与えられない。“なんでも好きなことをしていいよ”と言われても、子供は迷うだけ」

 

なるほど確かに。

 

自分だって、「好きなようにしたら」と言われたら、本当にやりたいことをやり切る自信はない。

 

「子供は、母親や母親の周りの大人を見ている。いろんな選択肢を子供に見せてあげること、たくさんの可能性を子供に教えてあげることが、『本当の自由』を子供に与えられる唯一の方法」

産まれてきてくれた我が子にできること

まだ母親としても新米の私に、おこがましくも、何か大それたことができるとは思っていない。

 

でも、「こうでないとはいけない」という、自分自身が無意識のうちに感じている既成概念の枠を少しずつ外して、「全く白紙そのもの」の子供に、広い広い世界を見せて、いろんな可能性を教えられる母親でありたいなと思っている。

 

子育ても、日々試行錯誤の毎日で、これから大変なこともたくさんあると思う。そのすべてを楽しんでいきたいし、失敗しても、嫌なことがあっても笑っていられるような自分でいたい。少なくとも、あの時よりはずっといいのだから。

 

 

山下 真理子

 

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