粉飾決算は増加傾向に…公認会計士の「監査離れ」深刻化の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

公認会計士の「監査業務」に従事する割合が減少傾向にある。監査法人アヴァンティア・法人代表CEOである小笠原直氏は、業界を取り巻く環境について警鐘を鳴らしています。

公認会計士志望者は増えるが…「耐えがたい痛恨事」

公認会計士を目指そうとする受験生は、この5年間で増えてきました。また、合格率もここ数年は10%強と安定して推移しています(図表1および図表2)。

 

[図表1]公認会計士試験願書出願者数の推移

 

[図表2]公認会計士試験合格者数・合格率の推移

 

以前は、合格率が17%超となった緩い時代や合格しても監査法人に就職できない未就職問題の時代もありましたが、この5年間は、監査業務の拡大、証券市場の右肩上がりの上昇といった要因があり、安定していたといえます。

 

これは、日本公認会計士協会が有為な人財を獲得するために、公認会計士の受験制度や合格後のキャリアの説明会を大学や中高校向けにも地道に実施した成果であるといえます。私もここ数年、母校で4月に、主に大学受験を終えたばかりの1年生向けに説明会を実施してきました。

 

またこれもその努力の表れですが、女性の受験生が増えており、2021年度の合格者は、ついにガラスの天井といわれた占有率20%を大きく超えて、24.6%となっており、約4人に1人は女性公認会計士になったわけです。ダイバーシティといわれ、コーポレートガバナンスにおいても、女性の役員をもっと増やすべきとされている時代ですから、当然といえば当然ですが、すばらしい成果です。

 

しかし、現状で大いに懸念すべきことが、公認会計士の監査業務に従事する割合が減少している、特に監査法人に就職した若い人財が退職して、コンサルティングや企業内会計士になる、すなわち「監査離れ」の問題です。

 

私個人としては、「公認」される限り、社会インフラの一部である監査業務に有為な人財をつなぎとめ、社会的使命をとげることが、社会からの要請ではないかと考えます。また中堅監査法人である身としては、大手監査法人に勤め数年で退職し、セカンドキャリアに「監査法人」の選択がなくスルーされることは、耐えがたい痛恨事です。

 

私は、この「人流」を変えるために、我々も現場での監査業務の魅力を伝え、発信する努力はしていきますが、日本公認会計士協会を中心にもっと業界として取り組む時期がきているのではないかと感じています。

監査法人アヴァンティア 法人代表CEO 公認会計士

栃木県出身。1989年一橋大学経済学部卒業。
公認会計士第二次試験合格後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)を経て、2008年に監査法人アヴァンティアを設立・法人代表に就任。
日本公認会計士協会実務補習所副委員長、公認会計士修了考査試験委員、独立行政法人経済産業研究所評価委員、独立行政法人統計センター評価委員、相模原市外部包括監査人、慶應義塾大学環境情報学部准教授、千葉大学法経学部講師を歴任。
現在は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構監事、東プレ株式会社(東証第一部)社外取締役、都築電気株式会社(東証第一部)社外監査役、一橋大学大学院経営管理研究科講師と活躍の場を広げている。
監査法人アヴァンティアは、成長するミドルサイズの上場企業への監査を目的に2008年設立した「日本を支えるベンチャー監査法人」。
2021年7月1日現在、上場企業クライアント31社(業界12位)、メンバー113人。
「適正規模」の法人を標榜し、オーガニックな成長を提唱する「AVANTIA 2030」において、業界ベストテンを志向する。

著者紹介

連載監査法人の原点

※本連載は、小笠原直氏の著書『監査法人の原点』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

監査法人の原点

監査法人の原点

小笠原 直

幻冬舎メディアコンサルティング

公認会計士はいかなるときも正しくあれ 公認会計士の仕事とは、企業の決算書が会計基準に基づき、適正に作成されているか否かについて監査意見を表明することであり企業の信用を担保する重要なものである。 本書では、公…

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