(※画像はイメージです/PIXTA)

2020年の春以降、自らの感染リスクと隣り合わせになりながら、新型コロナウイルス感染者の治療にあたる医師たちがメディアに映し出されてきた。歴史に残るパンデミックの中で実施され、かつ「大学入学共通テスト」元年となった医学部医学科(以下、医学部)入試を振り返る。第5回は番外編として、2018年に発覚した東京医科大学の不正入試報道がその後の医学部入試にどのような変化をもたらしたかを文部科学省のデータから検証していく。

受験生にとって大学受験は通過点に過ぎない

「努力は報われる」と信じるから、私たちは夢に向かって必死に努力する。これは受験生であれ、社会人であれ変わらない。ただ、受験は誰の目からみても明らかな基準で判断が下されるという前提があるので、不正入試が行われていたという事実は、夢を追い求めるものにとってやりきれなさが残るかもしれない。

 

自分の力ではどうにもならないことに巻き込まれた時にどうすればいいのかについては、多くの人が悩む。

 

多くの合格者を送りだしてきた駿台予備学校の医学部受験専門校である市谷校舎の教務マネージャー宮辺正大氏が、心に残る言葉を口にしていた。

 

「大学受験は押しなべてそうですが、特に医学部合格という厚い壁を乗り越えるには、『ちゃんと勉強すれば、受かる。足りないのは自分の学習量が足りないから』という現実を素直に受け入れ、自分の学力に対して謙虚でいる姿勢が何より大事なのです。実際に合格を掴んでいく生徒に共通するのは、細かいことに右往左往することなく『限られた時間のなかで絶対に目標点までもっていく』と覚悟を決め、置かれた環境でベストを尽くすことだけを考えていることです。医学部を志望する受験生にすれば大学受験は通過点でしかなく、最終目的は国家試験をパスして医師になることなのですから。夢を叶えるのなら、社会で起きていることに関心をもちつつも振り回されることなく合格に向け努力していくことがすべてなのです」

 

「尊敬すべき幸福な人は、逆境にいても、つまらぬことはくよくよせず、心配しても始まらないことは心配せず、自分の力のないことは天に任せて、自分の心がけをよくし、根本から再生の努力をする人である」とは、文豪武者小路実篤の言葉。まさにこのことを実践していった受験生が、コロナ禍のみならず数々の困難を乗り越えて合格を掴んでいったに違いない。

 

 

大熊 文子
フリーライター

 

 

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