下半身の問題はデリケートだ。周辺を扱う医師も、患者に対する言葉には気を遣う必要がある。すると、会話のなかで独特の言い回しや表現が生まれることも。『野垣クリニック』の院長である野垣岳志氏が、これまで患者から受けた愉快で心に残る言葉を、エピソードとともに紹介してもらった。

トイレが詰まる回数が、あまりにも多くて…

「先生のおかげで我が家の家計が助かりました」。

 

こちらは内痔核が回復されたある女性の言葉です。脱肛する内痔核があると、排便後にお尻を拭いても拭いても汚れがなかなか取れなくて、トイレットペーパーを大量に消費してしまう場合があります。紙を大量に流すとトイレが詰まってしまって、業者に頼んでトイレの詰まりを直してもらわないといけなくなる場合もあります。この患者さんは長年そういった事に悩んでいました。

 

内痔核は10年以上前に出産をした頃からずっとあったそうですが、「痛くもないし、腫れていても気にならない」という理由でそのままにしていたそうです。あまりにもトイレが詰まる回数が多かったため、頻回に出入りしていた業者の方に勧められて当院に来られました。水回りのトラブルを解決する業者は色々なケースパターンを知っているので、なぜトイレットペーパーをそんなにたくさん使わないといけないのかについて患者さんに聞いてきたそうです。

下着まで汚していた日々が…

実は初診で来られた時にはそんな話は一切なく、妊娠出産後から腫れが気になっていたので手術をしたいとの事で治療を希望されました。拭き取りが悪いのも困っているとの事でしたが、まさか頻回にトイレが詰まって困っていたなんて想像もつきませんでした。手術も無事に終わり、術後の経過観察で受診された時に冒頭の話を切り出されました。

 

「手術をしたらお尻が1回で拭けるようになって、紙もほとんど使わない。毎週トイレットペーパーを買いに行ってたのが嘘みたい。たくさん使うからなるべく安いものを探して買っていたけど、それで品質が悪くなり、余計に詰まる原因になっていたのかも。トイレが詰まらなくなっちゃったから業者の人には申し訳ないかな。週に何回も呼んでたから。下着が汚れたりするので前はずっと生理用品を使用していたけど、それも必要なくなった。今まで無駄に出て行ったお金がもったいなかったです」

 

お尻が回復することで、思いがけない収穫を得ることもあるようです。こうして患者さんの多様な意見を聞いて本当は何を悩んでいるのかを追求することが、今はとても楽しくなっています。
 

 

 

野垣 岳志

野垣クリニック院長

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