(画像はイメージです/PIXTA)

日本の中小企業は、極めて高度な技術力や開発力を有するところが多く、日本経済の根幹を支える重要な存在です。しかし、そんな企業も事業承継に失敗すれば、簡単に解体・消失してしまいます。経営の盤石化と相続税・贈与税の問題を共に乗り越えて事業承継を実現するには、どんな方法があるのでしょうか。長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

後継者に重くのしかかる「贈与税と相続税」

次に、相続税と贈与税の問題です。

 

中小企業の事業承継で最も問題なのは、後継者が株式を取得する場合にその株は上場株式とは異なり換金性はないのに、贈与税や相続税がかかってしまうと言うことです。

 

経営承継円滑化法では、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている中小企業の株式等を贈与や相続等により取得した場合に、一定の要件のもと、贈与税や相続税の納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度で、実際上、贈与税や相続税を支払わなくてよいことは可能となっています。

 

特例措置と一般措置で、株式の全部が対象となるか3分の2までなのかなどの要件が異なります。

 

下記の比較表を参考にしてください。

 

(出所)中小企業庁『経営承継円滑化法申請マニュアル【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】令和3年4⽉改訂版
[図表1]特例措置と一般措置の比較 (出所)中小企業庁『経営承継円滑化法申請マニュアル【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】令和3年4⽉改訂版

 

これらの適用を受けるには経営承継円滑化法に定める都道府県知事の認定を受けるなど、いろいろな要件を満たす必要があるので、注意が必要です。

 

しかし、それらの要件を満たせば、最大の心配事である「相続税や贈与税を、事実上支払わなくてすむ」ことになるので、事業承継を考えている会社や経営者は適用を受けたほうがいいと思います。

 

最後に、今回の設問の選択肢は、①も②も正解となります。

 

 

高島 秀行

高島総合法律事務所

代表弁護士

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧