日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は「平均賃金(時間給)」と「最低賃金」について見ていきます。
10月「最低賃金引上げ」にため息する、給与が上がらない会社員の悲哀 ※画像はイメージです/PIXTA

平均賃金と最低賃金にみる、賃金格差の実態

会社員であれば、多くの人が、できるだけ効率的、つまり少ない労働時間で、できるだけ多く給料をもらいたいと思っているでしょう。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、平均月収(所定内給与額)は30万7700円、1ヵ月の実労働時間(所定内実労働時間数)は165時間なので、時間給にするとへ平均1,865円になります。

 

都道府県別にみていきましょう。最も時間給が高いのは、やはり「東京都」で2278.0円。「神奈川県」2043.9円、「大阪府」1942.4円、「愛知県」1915.2円、「京都府」1883.6円と続きます。

 

【都道府県「平均賃金(時間給)」トップ10】

1位 東京都(2278.0円)

2位 神奈川県(2043.9円)

3位 大阪府(1942.4円)

4位 愛知県(1915.2円)

5位 京都府(1883.6円)

6位 滋賀県(1849.7円)

7位 兵庫県(1838.4円)

8位 千葉県(1830.9円)

9位 茨城県(1824.2円)

10位 埼玉県(1816.3円)

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より

 

一方で、最も時間給が安いのが「青森県」で1448.8円。「岩手県」1481.3円、「秋田県」1486.1円、「宮崎県」1488.0円、「沖縄県」1512.0円と続きます。1位「東京都」の時間給は47位「青森県」の1.57倍です。

 

さらに都道府県ごとの最低賃金も見ていきましょう。

 

最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとしています。地域別最低賃金として、都道府県ごとに最低賃金が定められています。

 

最も最低賃金が高いのが「東京都」で1013円。最も安いのが「秋田県」をはじめとする7県で792円で、「東京都」との差は1.27倍。平均賃金ほどの格差はありません。

 

【都道府県「最低賃金」トップ10】

1位 東京都(1,013円)

2位 神奈川県(1,012円)

3位 大阪府(964円)

4位 埼玉県(928円)

5位 愛知県(927円)

6位 千葉県(925円)

7位 京都府(909円)

8位 兵庫県(900円)

9位 静岡県(885円)

10位 三重県(874円)

 

出所:厚生労働省ホームページより

 

日本の最低賃金をみてきましたが、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は、最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げるとし、今年10月から引き上げられることが決定しています。

 

これによって、最低賃金の全国加重平均は930円になります。政府は全国加重平均を1,000円になることを目指すとしていますので、今後も最低賃金は引き上げられることが予想されています。