※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍の不況において「資金バブル」が生まれ、格差社会は広まる一方だ。余った金を不動産投資に使う富裕層が多い背景について、不動産市況アナリストの幸田昌則氏が解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「豊かな人はより豊かに」富裕層の不動産投資の現状

さて、コロナ禍でも、日本人の不動産投資意欲は依然として衰えず、むしろ高くなっている。その例を挙げてみる。

 

●東京都心から1時間前後のリゾート物件の購入は最高水準に達し、別荘・土地・マンションなど、全般に活況を呈している。新築マンションでは億を超える価格でも、広くて好立地の「希少性」のある物件には人気が集中している。

 

●生活にも仕事にも利便性の高い都心の広いマンションにも根強い需要がある。ただし、面積の狭いものは検討対象とはならない。

 

●富裕層の存在感が高まっている。好立地の収益物件の購入、投資利回りを重視する姿勢よりも、「希少価値」の高い不動産を希望。相続対策としての取得も衰えていない。

 

コロナ禍で、富裕層はますます資産を増やすという状態が鮮明になっている。日本でも、所得と資産の格差拡大が進行して、「格差社会」は動かしがたい事実となっている。豊かな人はより豊かに、貧しい人はより貧しくなる構図が定着しつつある。

 

富裕層の余裕資金が、コロナ禍で消費を抑制されて行き場を失ったことと、超々低金利で「現金が金利を生まない」ものになってしまったことで、その資金が不動産にも流入するという現象を生んでいる。結果的には、超低金利が一部の地域や地点の不動産価格を下支え、高止まりの状況をつくっている。

 

現在の富裕層の多くは、株価や不動産価格が少々下落しても、痛痒を感じないレベルになっている。不動産の取引現場でも、「他に買いたいものがないから、不動産でも買おうか」という人が見受けられ、複数の不動産を持ち、さらに買い増しをする例が多くなっている。

 

 

幸田 昌則

不動産市況アナリスト

 

 

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