ケアマネは30人学級の担任?…利用者・家族しだいで介護は激変する

相沢 光一
ケアマネは30人学級の担任?…利用者・家族しだいで介護は激変する
(※画像はイメージです/PIXTA)

ケアマネのなかには、利用者・介護者のニーズに応えてくれない人、相談したいのに親切に対応してくれない人、困っていることも解決してくれない人もじつはけっこういるという。どうしたらいいのか。※本連載は相沢光一著『介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ』(河出書房新社)より一部を抜粋、再編集したものです。登場するケアマネの方々、サービス事業者の方々のお名前は、すべて仮名です。

ケアマネは自分のほかに30人担当している

しかし、利用者・介護者はそこまで考えが及びません。自分たちにとっての担当ケアマネはひとり。ケアマネがほかに30人前後を担当していることなど知らず、わが家のケアに集中していると思うわけです。

 

だから、しばらく連絡が入らなかったり、なかなか訪問に来なかったりすると、手を抜いているんじゃないかと考えるようになる。それが不満につながり、良好な人間関係を築くことができなくなるわけです。

 

利用者・介護者とケアマネの構図は、1対1ではなく、約30対1と知っておいたほうがいい。といって、ケアマネが自分たちに注ぐ労力や知恵が30分の1かというと、それも違う。ケアマネは、いま目の前で対面している利用者・介護者には集中して対応し、もてる力の100%を出そうとしているわけです。

 

この構図は、小学校や中学校の担任の先生をイメージするとわかりやすいでしょう。担当する人数は30人から40人とほぼ同じ。そのなかには、やんちゃな子が数人はいて、担任の意識はおもにそこに向かいます。しかし、手のかからない生徒を無視しているわけではない。そのなかの生徒に異変が生じたら、そちらを最優先で心配するわけです。そのあたりは、ほかの生徒もわかっていて、ふだん目をかけてもらえなくても不満は感じません(えこひいきのようなケースは別ですが)。

 

ケアマネもそのように対応しているといえます。担当する約30人のうち、つねに注視することが必要な人には、より多くの時間と意識を注ぎますが、それ以外は見守るレベルで済ませる。しかし、それらの利用者にも何かが起これば、そちらに集中するという臨機応変の対応をしているわけです。

 

ケアマネは利用者・介護者にそうした事情を話すことはありませんが、「ウチは多くのなかの1軒だ」と知っていれば、余計な負担をかけないよう配慮するようにもなるもの。また、担当してくれていることに感謝し、来訪時には「ありがとうございます」のひと声をかける気にもなります。ケアマネのほうも、そんなことをいってくれる人は少ないですから、好感をもち、気持ちを込めて仕事をすることになるのです。

 

相沢 光一
フリーライター

 

 

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

介護を左右する 頼れるケアマネ 問題なケアマネ

相沢 光一

河出書房新社

有能な人が担当になればラッキー。ところが、そうでない人だと…。介護サービスを受ける際の中心的な存在であるケアマネージャー。その良し悪しはどこで判断できるのか、「もっといい人を」と思ったら、どう対処すべきか。著者…

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