(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大により、ネットショッピングの需要が急激に高まっています。一方、物流件数の増加・複雑化に伴う人材不足と運賃上昇が課題となっており、この課題解決のために現在注目されているのが、デジタル技術を活用してビジネスモデル変革を行う「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。今回は、物流業界で起きたイノベーションが日本のコンビニ業界にもたらした変化を見ていきましょう。

「脱労働集約」の最重要課題は「省人化」と「標準化」

中小製造業は物流DXでどこに注目して取り組むべきでしょうか。それを知るためには、これまで物流分野で起きてきたイノベーションについて知っておく必要があります。

 

物流分野では過去に大きなイノベーションが3回起きています。それらはロジスティクス1.0~3.0といわれています。そして今回の物流DXはロジスティクス4.0に位置づけられるものです。

 

最初のイノベーション「ロジスティクス1.0」は、鉄道の出現がきっかけでした。それ以前は馬や船などを利用した運搬が基本でした。しかし、蒸気機関車の登場で鉄道輸送が可能になり、大量輸送時代の幕が開けたのです。

 

「ロジスティクス2.0」は、荷役の機械化により起こりました。荷物を運搬するには仕分けしたり、積み込んだりしなければなりません。当時は人間が手作業で行っていましたが、大量に処理するには限界があります。そこでフォークリフトやパレットが登場し、荷役を効率化できたのです。

 

「ロジスティクス3.0」は、コンピュータの普及によって起こりました。1980年代になってコンピュータが普及すると、物流の世界にはWMSが導入されました。これにより、倉庫内の商品の管理が正確になるとともに、入荷、保管、ピッキング、検品、梱包までの一連の作業がトータルで管理できるようになり、倉庫管理がデジタル化されました。

 

そして現在進みつつある物流DXが「ロジスティクス4.0」です。「ロジスティクス4.0」の本質は「省人化」と「標準化」です。これにより人的リソースに依存しない「脱労働集約」を目指しています。

 

「省人化」は人の仕事をロボットやITで自動化するイノベーションであり、「標準化」は必要となるオペレーションやデータの規格などでより良い選択をし、その選択結果を標準とすることで、統一、単純化を図ります。

 

つまり、「標準化」が「省人化」を実現するうえでのベースとなり、この2つはセットで検討する必要があります。

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    ※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

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