「南アフリカランド/円」は中長期的な割高圏にある
次に新興国通貨、南アフリカランド/円についてみてみましょう。先週はこの間の安値を大きく割り込む動きとなりました。背景にあるのは、南アフリカランドが対円でも対米ドルでも中長期的な割高圏にあり、これまで見てきた米金融緩和見直しに伴う米国への資金回帰では、南アフリカからの資金流出が拡大しやすいということでしょう。
図表4、5は、南アフリカランドについて、対円、対米ドルで5年MA(移動平均線)からのかい離率を見たものです。これを見ると、南アフリカランドは、2010年以降でみる限り、対円でも対米ドルでもかなり割高懸念の強い水準にありそうです。こういったなかでは、資金流出に伴う下落リスクに、引き続き注意が必要でしょう。
先週の「米ドル/円」は米ドルの上値重い展開に
最後に米ドル/円についても確認しましょう。先週の米ドル/円は、週初は先々週末発表されたミシガン大学消費者信頼感指数が、予想を大きく下回った「ネガティブ・サプライズ」を織り込むように109円割れ近くまで下落、その後一時110円台まで回復したものの、これまで見てきた通貨ペアとは異なり、総じて米ドルの上値重い展開となりました。
基本的には日米金利差と連動していたといえます(図表6参照)。この関係が今後も続くようなら、先週のような米ドル上値の重い展開が続くかどうかは、米金融緩和見直しをにらみながら、米金利がどのように動くかがカギを握ることになるのではないでしょうか。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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