※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナショックによる不動産市場への影響は、住宅地のみならず大都市圏のオフィス街にも及ぶ。オフィスビル賃料のこれまでとこれからを不動産市況アナリストの幸田昌則氏が解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

欧米の大企業では「在宅勤務の増加」どころか…

一方、オフィス市場自体の構造的な変化にも注目する必要がある。現在、日本に限らず、欧米でも、超低金利、金融緩和の情勢下にあり、この数年間、その資金の多くが不動産に投下されてきた。特に東京都心部は顕者で、大量のオフィスビルが建設され、しかも超高層の大型ビルであり、貸室面積はこの30年間で倍増したとの調査結果も出ている。すでに実需要を大幅に超えているものと思われる。

 

さて、新型コロナウイルスの感染拡大が統いている米国のオフィス市況は、どのようになっているのか?

 

欧米の大企業では、在宅動務が増加しているどころか、在宅勤務を永続的に行うというケースも出ている。もちろん業績や仕事の内容にもよるが、企業側だけでなく、働く社員の方からも、在宅動務という働き方に魅力を感じる人が多くなっているという。

 

在宅勤務の形式が容易なIT企業や金融業などは、すでにオフィスの賃借面積を縮小しているが、今後、この動きは他の業種にも広がっていくのは確実と言える。

 

東京と同様に、米国都心部のオフィス賃料の下落も進行している。働く人も、都心から賃料や住宅価格の安い郊外へと移る動きが生まれている。

 

コロナ禍は、日本だけでなく、欧米、世界中の人々の働き方の変革を迫って、オフィス市場の需給関係を一変させることになった。誰もが想像しなかった新型ウイルスの影響で、賃貸オフィスビルのオーナーは、新しい視点でその収益力を継持・向上させる戦略を求められることになった。

 

 

幸田 昌則

不動産市況アナリスト

 

 

アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

幸田 昌則

日本経済新聞社

新型コロナの感染拡大で、不動産市況も大変化。 アベノミクスによる異次元の金融緩和によって演出された不動産バブルは、すでにピークを過ぎていたものの、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、まったく違った局面…

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