(※画像はイメージです/PIXTA)

一般的に、歯科医院に居心地の良さを感じる人は少ない。できれば通いたくないと、足を遠ざける人がほとんどだ。『立川デンタルクリニックすずき』の院長である鈴木博貴氏は、歯科医院をもっと快適に過ごせる場所にしていこうと考えた。人気のテーマパークやホテルからヒントを得たという、歯科医院を魅力的な場所に変えるためにおこなった“身近な取り組み”について紹介してもらう。

患者のデンタルIQを高めようとするも…

「通院してくれる患者さんのデンタルIQを高めれば、歯科医院が行きたい場所になるに違いない! そうすれば、当院の提供しているサービスをホスピタリティとして受け取ってくれるのではないか?」

 

そう考えた僕は、患者説明ツールを充実させ、歯の大切さ、予防の大切さを伝える努力を始めました。

 

最初のうちは「しっかりと説明してくれる歯医者さん」「丁寧な治療をしてくれる歯医者さん」という印象を持ってくれていたと思います。

 

しかし、説明する人間がドクターである僕一人しかいないと、どうしても診療効率が下がってしまいます。

 

そのような状況が続いてしまうと「予約制なのにいつも待たされてしまう」「説明の時間が長くて実際の処置が全然進まない」「無駄に来院回数を増やそうとしている」というネガティブな捉え方をする患者さんが増えてしまいました。一部の患者さんには好評でも、半数以上の患者さんは「通いにくい」「なんかめんどくさい歯医者」という感じで途中離脱してしまいました。

 

そして、もう一つ気がついたことは、いきなりデンタルIQの高い患者さんはなかなかやってこない。という事実でした。地道に説明し、デンタルIQの高い患者さんを増やそうとしても、なかなか増えない。そんな壁にぶち当たったのです。

スタッフがどんどん辞めていく…

そこで、すこし考え方を変えました。テーマパークや高級ホテルと同じレベルのサービスを目標としていたからダメだったのではないか?

 

さらに上を行くおもてなし、ホスピタリティを提供することができれば、「行きたくない」場所に来た人にでも、「素晴らしいサービスだ!」と受け取ってもらえるのではないかと……。

 

そうして、より高いサービスを提供できるように、スタッフに求めるレベルはより高くなったのです。

 

しかし、今までの取り組みでも、「歯医者でこんなことする必要がある?」と疑問に思っていたスタッフ達にはその要求は苦痛以外の何者でもなかったのでしょう。

 

スタッフが、一人辞め、二人辞め。人手が足りないので採用の基準などとは言っていられず、すぐにでも働いてくれるスタッフを雇う。しかし、求めるレベルが高すぎてまた、すぐに辞めてしまう……。完全に悪循環でした。

 

「やっぱり、自分の思い描いていたことは無理だったのかもしれない。理想は現実にならないんだ……」そう、心が折れかけたときです。あるテレビ番組を見ました。

 

それは、とある高級ホテルでコンシェルジュとして働いている人に密着取材した番組でした。素晴らしいサービスの提供。顧客第一と考えることのできる素晴らしいマインド。

 

「どうすれば、こんな人が育つんだろう……」

 

感心しながら見ていたとき、そのコンシェルジュの方に番組スタッフがこう聞きました。

 

「どうしてそんなに頑張れるのですか?」

 

その答えはとても衝撃的なものでした。

 

次ページこの医院を好きなスタッフはひとりもいなかった…

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