「そうだなぁ。Aちゃんよりもお母さんの方がいろんなことをよく知っているから、お母さんが『絶対』ダメだと言ったら、あきらめるというのはどうかな?」
「えーっ!? そしたら、お母さんがいつも『絶対』ダメって言ったら、私の言うこと何も聞いてもらえなくなっちゃうんじゃない?」
確かに、Aちゃんの言うことももっともです。今度はお母さんがアイデアを出します。
「それなら、ママは本当にどうしてもダメなときにしか『絶対』という言葉を使わないという約束にしようか」
「うーん、それならいいかな」
Aちゃんも納得しました。その様子を見て、お父さんが今日の話し合いの結果をノートにまとめ、読み上げます。
「人に自分の話を聞いてもらいたいときは、泣かないで自分の気持ちをちゃんと説明する。泣いてしまったら、その話はおしまい。ママが『絶対』という言葉を使ったら、Aちゃんは諦める。ママは本当にどうしてもダメなときにしか『絶対』という言葉を使わない。これでいいかな?」
Aちゃんもお母さんもすっきりした顔でうなずきました。そして、お父さん、お母さん、Aちゃんはノートにサインをし、今日決めたルールを守ることを約束しました。
これは5歳児とのやりとりをもとにしたモデルケースです。回数を重ねるごとに、幼児でもきちんと話し合いができるようになります。
話し合って家庭のルールを自分たちでつくることで、発達障害の子どもが社会に出たときに役立つコミュニケーションのルールを身につけることができます。また、話し合って決めたルールをお互いにきちんと守ることで、子どもに自分をコントロールする能力を教えることもできるのです。
大坪 信之
株式会社コペル 代表取締役
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