発達障害の子どもが癇癪を起こしてしまって話を聞いてくれない、と悩む保護者の方は少なくありません。本記事では、療育・児童発達支援スクール『コペル+(コペルプラス)』代表取締役の大坪信之氏が、発達障害の子どものコミュニケーション能力を育むための方法について解説します。

ある日、朝食をとっているときに、お母さんからファミリーダイアログをやりたいという提案がありました。お母さんが困っていたのは、娘のAちゃんのことでした。最近、何か気に入らないことがあると、家でも公共の場でも大きな声で泣き、駄々をこねるのです。

 

お母さんとしては、すぐにでもファミリーダイアログを開催したいところでしたが、平日はお父さんが仕事で帰りが遅くなるとのことで、次の休日の昼下がりに開催しようということになりました。

 

昼食を済ませ、穏やかな雰囲気の中みんなが席につきました。テーブルの上には、これまでにみんなで決めてきた家のルールが書かれているノートが用意されています。

 

さあ、ファミリーダイアログのスタートです。

 

まずはお母さんが自分の思いを打ち明けます。

 

「最近、お出かけしているときに、お店の中でAちゃんに大きな声で泣かれるので、ママは困っています。周りには、ゆっくり静かにお買い物したい人もたくさんいると思うんだよね」

 

そう言うお母さんに、Aちゃんも自分の考えを主張します。

 

「だって、私がふつうに話しても、ママが全然言うことを聞いてくれないんだもん!」

 

そんなAちゃんの気持ちを汲み取って、お父さんが提案をしました。

 

「Aちゃんは自分のお話を聞いてほしかったんだね。でも、ママだってすべてAちゃんの言うことを聞いてあげられるわけじゃないんだよ。ママの気持ちになって考えてあげたらどうかな?」

 

お母さんが自分のお願いを全部聞いてくれるわけではないということは、Aちゃんもわかっています。でも、「ママの気持ちを考えてあげて」というお父さんの言葉にAちゃんは納得がいきません。

 

「じゃ、ママも私の気持ちになってよ。私だけがママの気持ちを考えるのはおかしいよ」

 

不満気なAちゃんにお父さんが語りかけます。

 

「パパが言う『気持ちを考える』というのは、相手の言いなりになるということじゃないんだよ。相手の気持ちを考えて話し合えば、泣かなくても問題を解決できると思うな」

 

Aちゃんは泣かなくても問題が解決できるということに、はっとした様子です。ただ、まだ腑に落ちない表情をしています。

 

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    ※当記事は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

    「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

    大坪 信之

    幻冬舎メディアコンサルティング

    近年増加している「発達障害」の子どもたち。 2007年から2017年の10年の間に、7.87倍にまで増加しています。 メディアによって身近な言葉になりつつも、まだ深く理解を得られたとは言い難く、彼らを取り巻く環境も改善した…

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