(※写真はイメージです/PIXTA)

日本国内ではステータスが高く、女性が「結婚したい職業」では常に上位にランキング入りする医師。一方で離婚率が高い職業という説があり、「24時間相談受付」「LINEのIDを公開」するという型破りのスタイルで依頼を受けている銀座さいとう法律事務所の代表、齋藤健博弁護士のもとにも、医師のリコカツ(離婚活動)案件が殺到しているといいます。今回は、実際に齋藤弁護士に寄せられた実例をレポートします。※弁護士業の守秘義務遂行のため、一部の内容変更をご了承ください。

 

「本命の彼女はいないらしいですが、“隠れ家”で女性と“寝技”を決めまくっているようです。その部屋では、アブノーマルなSM行為もしているとか」

 

件の彼は独身男性ですが、不倫する男性は、パートナーである妻には言えない性癖を不倫相手に求めて解消すると聞いたことがあります。話はそれますがアブノーマルな行為が好きな彼も、結婚しても“隠れ家”を維持し続ける、雅人さんと同様の道をたどるのかもしれません。

妻はやはり気づいていた

話を雅人さんと紗栄子さん元夫妻に戻しますと。齋藤弁護士によると紗栄子さんはやはり、夫の不貞に気づいていたそう。2人の離婚劇は、泥仕合の様相を呈したそうです。

 

「紗栄子さんは時間をかけて雅人さんの不貞の証拠をつかんだ上で、彼のご両親に雅人さんが不倫している事実を伝えました。ご両親を味方につけたかったのでしょう。そして別居後は、雅人さんに子どもを一度も会わせていません。会う頻度は2人で取り決めたようですが、『コロナ禍だから』『子どもの体調が悪いから』などの理由で、当日キャンセルが相次いだそうです。紗栄子さんが取ったこの2つの行動は、法律の『結婚を継続し難い重大な事由』に該当します。

 

一方で雅人さんは、子どもの教育方針の違いと、紗栄子さんが自身の親に夫婦の仲違いの理由を打ち明けたことが別居の原因になったと主張。自身の不倫は棚に上げて、です。有責者である雅人さんから離婚を切り出す権利はなく、話は平行線をたどり結局、法のもとで裁かれる調停へと発展しました」

看護師だった腹黒妻の思惑

繰り返しますが、紗栄子さんが雅人さんに求めた養育費は、一子につき1億円で、合計2億円です。子どもを出産し大学を卒業するまでにかかる1人あたりの金額は、2700万円前後というデータがあります。入学する学校や習い事などでこの金額は家庭により異なりますが、紗栄子さんの言う金額と平均額には、7000万円以上の差が。

 

紗栄子さんは雅人さんと職場結婚していて、結婚前は看護師をしていて手に職を持っています。仕事に復帰すれば、2人の子どもを養える収入を得られるはず。夫の高収入という甘い汁を吸い続ける生活を経て、働かずに子どもたちを育てたいという腹黒い思惑が透けて見えたのは、筆者だけでしょうか……。

 

もちろん、子どもたちに潤沢な資金をかけて教育したい、ゆくゆくは子どもたちの結婚資金としてもリザーブしておきたいという思いを否定はしませんが、お金は人を変えます。雅人さんと紗栄子さんの離婚劇は、ベタな愛憎ドラマを観ているようです。

 

さて、紗栄子さんは望みどおりの養育費を得られたのでしょうか。齋藤弁護士に聞きました。

 

「財産分与は2000万円プラス、紗栄子さんとお子さんが暮らす自宅のローンも雅人さんが支払うことで決着しました。財産分与額は別居した時点の財産額で決まりますが、当時の雅人さんの全財産は5000万円程度。一括で支払うには妥当な金額だと思います。別居時から支払っていた月120万円も、継続して支払うとのことです」

 

請求した2億円よりはかなり減額されましたが、2000万円という現金と、ローンを支払わずに住める自宅が手に入る。そして、生活費は月120万円。紗栄子さんはこの先、働かずに子育てに専念できる環境をつかみ取ったように見えますが、齋藤弁護士は「ただし」と、つけ加えます。

 

「同棲中の彩菜さん(仮名/23歳)と雅人さんは、近いうちに入籍して子どもをつくるでしょう。扶養する家族が増えた場合、生活費は減額される可能性があります」

 

しかも齋藤弁護士は、「紗栄子さんの生活費を脅(おびや)かす存在はほかにもいます」と言います。その存在とは? 次回に続きます。

 

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