京都の大人気ステーキ丼専門店が「面接に履歴書を忘れた人」でも採用するワケ

中村 朱美
京都の大人気ステーキ丼専門店が「面接に履歴書を忘れた人」でも採用するワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

営業はランチのみ、どんなに売れても1日100食限定と、従来の業績至上主義とは真逆のビジネスモデルを実現する京都の国産牛ステーキ丼専門店『佰食屋』。佰食屋の採用基準や働く従業員たちの特徴から「優秀な人材」という漠然としたイメージに捕らわれない、企業の特色に寄った人材への考え方を見ていきます。※本記事は『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(株式会社ライツ社)から一部を抜粋・再編集したものであり、本文中の店舗情報は現在と異なる場合があります。

ロボットもできる仕事を人間がするから生まれる改善

最近、「AI(人工知能)に取って代わられる仕事」といった話題をよく耳にします。

 

ならば、わたしたちが大切にしている「コツコツと丁寧に、毎日決められたことをきちんとやる」仕事は、真っ先にAIに置き換えられてしまうのではないか。でも、佰食屋はそれを「あえて」やっています。

 

佰食屋が従業員にしてもらっていることは、「誰がやってもできること」です。極端に言ってしまえば、ロボットでもできること、なのかもしれません。肉は毎日同じ部位を取り扱いますし、毎日同じものを100食つくり、提供します。メニューには全部説明が書いてありますし、レジも3店舗全部同じ機種です。

 

年齢・性別・学歴・経験を問わず、誰がやっても、3ヵ月もあれば身体で覚えられます。

 

でも、毎日毎日同じことを繰り返していると、なにも考えなくても、自然と身体が動くようになります。とにかく「毎日100食売り切ること」に集中できます。すると、なにが起こるか。頭が空っぽになって、ほかのことを考えられる余裕が生まれます。そこがわたしたちの「狙い」なのです。

 

毎日同じことを繰り返すからこそ、些細な変化や違和感に気づくことができます。その違和感から生まれるのは、お客様が「もっと過ごしやすくなる」、あるいは自分たちが「働きやすくなるため」の小さな、でも価値あるアイデアです。

 

「傘の取り間違いを防ぐため、番号を書いた洗濯ばさみを傘につけて目印にするのはどうか」「店員に声をかけなくても好きなだけお茶を飲めるように、ボトルをさまざまなところに配置したい」「海外からのお客様は味噌汁を飲む際スプーンを使うようなので、最初からスプーンをお出しするのはどうか」など…。

 

本当に細かいところに気づいてくれるので、毎回感心しています。そのアイデアは、決して来店数と売上額といった定量的なものから答えを出すAIから、生まれるものではないでしょう。

 

誰でもできる仕事をAIでなく、人間がやっているからこそ、仕事はどんどんと洗練されていく。

 

すると、変化のない単調な環境に彩りが生まれ、みんながさらに楽しく、さらに余裕を持って働ける環境になるのです。そして、その余裕はお客様への心配りにもつながります。

 

 

中村 朱美

株式会社minitts

代表取締役

 

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