※画像はイメージです/PIXTA

「自分が死んだ後に家族が相続でもめないようにしたい」「相続税を少なくして家族にできるだけ多くの財産を残したい」などという思いから行われる相続対策。しかし中途半端な知識で行うと失敗することも珍しくはありません。今回取り上げるのは、7つの相続対策の失敗例。その相続対策の何がいけなかったのか、どうすれば失敗せずにすんだのか、見ていきます。

事例⑤:保険金を受け取った孫も相続税申告が必要に

Eさんは相続対策として生命保険に加入しました。

 

かわいがっている孫に財産を直接与えられるように、孫を死亡保険金の受取人にしました。また、保険会社の職員のすすめもあって、孫に相続税がかからないように、死亡保険金は相続税の非課税限度額の枠内にとどめました。

 

その後Eさんが死亡して、孫に死亡保険金が支払われました。

 

Eさんの子供は相続税の申告が必要であったため税理士に相談したところ、「お孫さんも相続税の申告が必要です」と指摘されました。相続人でない孫に非課税限度額は適用されないとのことでした。

 

Eさんはかわいがっていた孫に財産をあげるつもりでしたが、相続税の申告と納税で負担をかける結果になってしまいました。

 

【事例⑤】では、Eさんや保険会社の職員が相続税の制度を正しく理解していなかったため、孫に負担をかけることになってしまいました。

 

生命保険の死亡保険金は契約上の受取人のものであり、遺産分割の対象ではありません。そのため、財産を渡したい人に直接渡すことができるというメリットがあります。

 

また、死亡保険金は遺族の生活を支えるものであることから、「法定相続人の数×500万円」にあたる金額までは相続税が非課税になります。法定相続人が4人いると、死亡保険金は2,000万円まで非課税になります。

 

しかし、死亡保険金の受取人が相続人でない場合は例外で、死亡保険金は非課税になりません。通常、孫は相続人にならないため、Eさんの孫が受け取った死亡保険金には相続税が課税されます(Eさんの子供が先に死亡していた場合やEさんと孫が養子縁組をしていた場合は、孫は相続人となり死亡保険金は限度額の範囲内で非課税になります)。

 

生命保険への加入をめぐっては、上記の事例以外にも次のような失敗例があります。

 

・遺産が少なく相続税がかからないにもかかわらず、節税対策として生命保険に加入した。

・保険料が終身払いになっていて、ある年齢を超えて長生きすると支払保険料の合計が死亡保険金の額を超える。

・一部が定期保険になっていて、契約で定められた年齢を超えると死亡保険金の額が大きく減少する。

 

【生命保険の加入で失敗しないために】

・保険金の受取人が死亡保険金の非課税限度額を適用できるか確認しましょう。

・保険会社の職員だけでなく相続税に詳しい税理士の意見も参考にしましょう。

 

死亡保険金の非課税限度額は、相続人が保険金を受け取った場合のみ適用できます。通常、孫は相続人でないため注意が必要です。

 

節税対策として生命保険に加入するときは、保険会社の職員だけでなく相続税に詳しい税理士の意見も参考にしましょう。保険会社の職員にも税制の知識が豊富な人はいますが、税理士の資格がなければ個別具体的な相談はできないことになっています。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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