(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍の影響により、米州のM&A市場は一時冷え込みを見せたものの、その後大きく回復し、M&A業界にとって楽観視できる状況となってきました。とはいえ、地域間の回復には明らかなばらつきもあります。現在の状況と今後の展望を見ていきます。※本記事は、Datasite日本責任者・清水洋一郎氏の書き下ろしです。

米州M&A市場…20年上半期まで苦戦も、その後回復

新型コロナウイルス感染症の大流行で各国がやむを得ずロックダウンを行った結果、米州のM&A市場は2020年上半期までディール活動が凍結するという困難を強いられました。

 

その後は以前の状態まで回復し、2021年第1四半期では安定したディール数を記録しています。2021年第1四半期に発表された1,961件のディールの総額は6,587億3,000万米ドル。前年同期の1,918件のディールによる2,367億7,000万米ドルを上回る金額となりました。そして第2四半期に発表されたディールは1,923件で、総額7,650億米ドルに達しました。

 

Datasiteのプラットフォームに掲載されている米州の新規プロジェクト(発表されたものではなく、開始されたもの)は、上半期には前年同期比で60%以上も増加したことがわかっています。

 

このようなM&A活動の増加は、M&A業界にとって楽観的に構えていられる理由となっています。しかし、米州の地域間では回復に明らかなばらつきがあるのです。M&Aの回復は北米がより顕著で、米国とカナダのディールメーカーは株式市場の急な回復と新型コロナウイルス感染症の感染者数の減少の恩恵を受けています。つまり米国が先導役となった結果、2021年第1四半期のディール額は、前年同期比で2倍以上の6,587億3,000万米ドルに達したのです。

 

北米以外では、ブラジルをはじめとするラテンアメリカのディール市場でも2021年第1四半期に改善が見られました。とはいえ、その回復は北米ほど顕著なものではありませんでした。また、新型コロナウイルス感染症の第2波がブラジルとその近隣諸国を襲い、封じ込め対策が再度必要になっているなどの影響から、年内の見通しが立たなくなっています。これは経済成長予測に影響を与えており、2021年の残りの期間も、南米のM&A活動に影を落とすことになりそうです。

 

M&Aの回復が均等でないことは、今年の第1四半期の米州を特徴づけるものとなりました。この状況は、この先数ヵ月間続くと予想されています。

 

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