(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの感染拡大により、ネットショッピングの需要が急激に高まっています。一方、物流件数の増加・複雑化に伴う人材不足と運賃上昇が課題となっており、この課題解決のために現在注目されているのが、デジタル技術を活用してビジネスモデル変革を行う「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。今回は、日本企業にとって「物流DX化」が急務である理由を見ていきましょう。

物流DXを実現するために必要な「資金力以外」の要素

このような物流DXが可能なのは、同社が大企業で資金も豊富だからではないか、と考える人も多いかもしれませんが、そうではありません。

 

企業の規模が大きくなるほど社員は多くなりますから、改革の意義を浸透させ、気持ちを一つにまとめるのは大変です。また、取り引き先の数も多くなりますから、システムの変更について一社一社と合意していくのは気が遠くなるような作業です。

 

社員10名程度の会社であれば「明日からウェブ制作会社になろう」と言ってもなんとかなるかもしれません。しかし、社員を何万人も抱える企業がいきなりビジネスモデルを転換するのは不可能です。取り引き先、株主などの数多くの利害関係者がいるなかで、自分たちのやり方を変えるのは簡単ではないのです。

 

その意味では、会社の規模が小さいほど、変革はしやすいのです。ただ、筆者が強調したいのは、「企業の規模は関係ない」ということです。多くのグループ企業を抱える大企業でも、社員10名の小規模事業者でも、改革を成功させるために必要なのは「経営者の意識改革と決意」です。それなくしては、どんな小さな改革も実現しません。

 

また時代の大きな流れを理解して改革を実施していかなければ、急な変化にとまどうことになります。それを怠った途端に破綻の危機に陥ることさえあります。経営トップがそのことを強く認識しなければなりません。

 

特に今は、どこか一つの部分を改革して最適化していくだけでは対応できないような変化が起きています。既存の仕組みを一度壊して、またつくり直すくらいの思い切った改革でなければ、世界のデジタルシフトには追いつきません。

 

デジタルシフトを進めない限り、激化する市場競争を勝ち抜くことは、ますます困難になるでしょう。デジタルシフトの目的は「効率化や省人化」ではありません。顧客ニーズを叶えるために必要なインフラを考え、デジタルで再構築する。この“顧客ファースト思考”への転換こそが目的であり、本質です。

 

そのときに必要になるのが、強力なリーダーシップです。トップがリーダーシップを発揮して、全社を巻き込む覚悟が必要です。企業の将来を左右するような改革を現場の社員や外部のコンサルタントに任せておくわけにはいきません。

 

ファーストリテイリングが改革を実現できたのも柳井 正氏がリーダーシップを発揮したからです。トップダウンで、「服屋ではなくデジタル企業になるつもり」でビジネスモデルを抜本的に見直すことを示し、自らが率先して動いたのです。それによって社内の意識改革が実現し、パラダイムシフトが起きたのです。

 

 

東 聖也

株式会社オンザリンクス

代表取締役

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

※本連載は、東 聖也氏の著書『WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX』(幻冬舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

WMS(倉庫管理システム)で実現する中小製造業の物流DX

東 聖也

幻冬舎

多くの中小製造業では、倉庫管理や製品を配送する物流工程に課題を残している可能性があります。例えば、多くの倉庫ではいまだ手書きで帳簿をつけたり、エクセルなどで手動で製品の管理を行っています。また、「手配する」「梱…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧