「昔はこんなんじゃなかったのよ」隣人女性は心配そうに呟く…。(※写真はイメージです/PIXTA)

1年ほど家賃を滞納している74歳男性。督促をしても喚き散らす始末で、家主も実兄も困り果て…。「強制執行」までの経緯を、OAG司法書士法人代表・太田垣章子氏が解説します。 ※本記事は、書籍『老後に住める家がない!』(ポプラ社)より一部を抜粋・編集したものです。

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    呼び鈴を鳴らすと…「帰れ!」部屋から現れた姿に呆然

    さっそくお兄さんと一緒に、山沖さんのところに行ってみることにしました。この日も快晴でしたが、山沖さんの部屋の前だけは洗濯物が干されていません。他3軒の皆さんが「毎日こんなに洗濯されているのですか」と驚いてしまうほど干されているので、まるで山沖さんのお部屋が空き家のように見えてしまいます。

     

    お兄さんが呼び鈴を鳴らしました。前回のように反応はありません。

     

    「政則、いるんだろう? 話をしよう」

     

    そう呼びかけると、今まで沈黙していた山沖さんが爆発したのです。

     

    「帰れ! お前には関係ない」

     

    お兄さんも食い下がります。

     

    「関係ないことないだろう? 俺はお前の連帯保証人なんだぞ。金払えって言われてるんだぞ。関係なくないんだよ。出てこい!」

     

    その大きな声に、先日の左隣の女性も部屋から出て様子を見守ります。

     

    「出てこいよ、ドア開けろよ」

     

    そう言いながら、お兄さんがドアをがちゃがちゃし始めたその時、ドアが中から勢いよく開けられました。

     

    仁王立ちになった山沖さんは、お風呂に入ってないのでしょうか。何日も着替えてないような、汗で汚れたシャツを着て、白髪交じりの髭も髪の毛も伸び放題の姿です。ぷんと酸っぱい臭いがします。

     

    「帰れって言ってんだ!」

     

    今にも殴りかかりそうな勢いでした。

     

    その迫力に皆が後ずさりした瞬間、ドアはまた大きな音を立てて閉じられたのです。

    次ページ「もう手続きでお願いします」強制執行に踏み切るが…
    老後に住める家がない!

    老後に住める家がない!

    太田垣 章子

    ポプラ社

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