ワクチン接種意向は高まったが、副反応への不安は依然として高い~効果を認めつつも接種を躊躇している人をどう後押しするか

ワクチン接種意向は高まったが、副反応への不安は依然として高い~効果を認めつつも接種を躊躇している人をどう後押しするか
(写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、ニッセイ基礎研究所が2021年7月20日に公開したレポートを転載したものです。

要旨

本稿では、ニッセイ基礎研究所が定期的に実施した「第5回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査(2021年7月実施)」を使って、3月に実施した第4回調査以降、接種意向がどのように変化したか、接種を希望しない理由に変化があったかを分析した。

 

その結果、「副反応の程度や症状についての情報が少ない」や「効果が明確ではない」は低下していたが、「副反応が心配」「将来的な安全性が確認できていないと思う」は低下していなかった。すぐには接種を希望しない人においては、身近な人や医療従事者からの推奨、クーポンやポイントの付与、ワクチンパスポートの国内利用等が決断の後押しになる可能性があった。

1―はじめに

新型コロナワクチンをすぐには接種しない人の理由と特徴~「安全性への不安」「順番待ち・様子見」「面倒」「ワクチン不要」」では、ニッセイ基礎研究所が3月に実施した「第4回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を使って、新型コロナウイルスのワクチンを「しばらく様子を見てから接種したい」「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」等、すぐには接種を希望していない人の理由とその特徴を分析した。

 

本稿では、その後3か月あまり経過した7月に実施した同第5回調査を使って、接種意向がどのように変化したか、接種を希望しない理由に変化があったかを見ていきたい。

 

使用したデータは、2020年6月からニッセイ基礎研究所が定期的に実施している「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の第5回調査(2021年7月実施)である。調査は、全国の20~74歳の男女(調査会社のモニタ)を対象としてインターネットで2021年7月5日~7日に実施し、2,582人から回答を得た。

 

このうち、本稿では、第4回調査(2021年3月実施)と比較するため、第4回調査でも対象としていた20~69歳(2,487人)から得た回答を分析した。

2―接種や接種予約は進んでいるが、「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」は5ポイントの低下にとどまる

7月調査におけるワクチン接種意向を[図表1]に示す。全体の9.7%が二回目まで接種を完了していた。「一回目の接種は終えている」「一回目の接種予約が完了し、接種日を待っている」までを合わせると、全体の34.6%が接種の目途がたっていたと考えられる。年代別にみると、優先接種対象者を含む60代は66.2%、20~50代以下は2割程度で接種の目途がたっていた。

 

3月調査と比較すると、60代を中心にワクチン接種(または予約)は進んでいた。また、全年代で「(まだ予約はしておらず)しばらく様子を見てから接種したい」という接種意向はあってもやや消極的だった割合も低下していた。

 

一方で、「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」は全体では5ポイント低下にとどまった。20~30代に限定してみると、3ポイントと、低下幅は他年代と比べて小さかった。

 

[図表1]ワクチン接種意向の変化
[図表1]ワクチン接種意向の変化
次ページ3―すぐには接種を希望しない理由

本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

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