患者が体調・病状をうまく説明できない場合は…
子どもや高齢者の患者は、自分の体調を上手に説明できないケースが多々あります。また、症状はよく分からないが、とにかく体調に問題がありそうだという状況も珍しくありません。こうしたとき看護師には、患者の話したことを脚色なしに記録することを求めています。
例えば、「子どもが幼稚園のお昼寝からなかなか起きて来ず、その後もぐったりしていて元気がない」などのように、相手の話を聞いたままで書くのです。そしてこうした患者に対しては、私自身がいつもより長い時間をかけ、じっくり話をしながら治療を行います。
患者のコミュニケーションスキルなどに問題があって病状をうまく説明できない場合は、診察に時間をかけたり、何度も問診したりすれば正しい診察結果を導き出すことができます。
一方、やっかいなのが「よく分からないが、とにかく体調が悪い」という訴えの背後に重大な病気が潜んでいるケースです。この場合は、真の原因を見つけるために医師の「眼力」が求められます。
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予定外の来院や、薬の要望…把握すべき「患者の事情」
患者の真の受診理由が何かはっきりさせることもおろそかにできません。
例えば、咳と鼻水、発熱を訴えて来院し、回復しなかったら3日後にもう一度来るように伝えた患者が、その翌日にもう一度来院したとします。この場合、看護師は患者に、なぜ3日後ではなく今日来たのかを確認しなければなりません。看護師が、「高熱が続くので心配になった」という事情を患者から聞き出していれば、医師は「それは心配でしたね。薬を出しますので安心してください」などと相手の心に寄り添った対応ができます。
一方、患者の事情をきちんと聞き取れていなかったら、医師は「3日後に来院するはずだったのに、どうして来たんですか?」と質問する羽目になり、患者をがっかりさせてしまいます。
患者は医師に「正しい診断」だけではなく、「共感」も求めています。その思いに寄り添うためにも、問診による事前のデータ収集が大切なのです。
看護師による問診では、普段使っている薬の種類や剤形も確認させます。
そして、看護師レベルで疑問に感じた点が少しでもあったら、きちんと患者に質問してその理由を明らかにさせます。
例えば患者のなかに、普段はシロップ剤を飲んでいるが、今回は解熱剤だけ粉薬にしたいと希望する人がいたとします。もし、その理由が問診メモに書かれていなかったら、私はカルテ内容との矛盾を感じて患者に質問しなければならないでしょう。その時間は明らかにムダです。
私の院の看護師には、私が診療現場で抱く疑問を最小限に抑えるため、高い質問力と判断力を兼ね備える必要があります。
まとめますと、私の院での問診手順は次のとおりです。
(1)患者の症状を聞く
(2)さまざまな症状のなかでどれが主訴か確認する
(3)それぞれの症状について、いつから発生しているか聞く
(4) それぞれの症状について、頻度や重症度がどの程度かできるだけ具体的に聞く
(5)「起きていない症状」について確認する
(6)普段使っている薬の種類や剤形を聞く
新人看護師には、こうした流れを頭に入れさせ、何度もトレーニングを行ってヒアリング力を高めるよう指導しています。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック院長
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